主人公は、高校に入学したばかりの少女・日野はつね。はつねは、慣れない電車通学で迷ってウロウロしていたところを、鉄道大好きな女の子3人組から、仲間だと思われて声をかけられます。
その3人とは、食べるのが大好きな「駅弁テツ」石塚まろん、電車を写真に取るのが大好きな「撮りテツ」能登まみこ(どっかで聞いたような名前・・・)、電車でアニメの聖地巡礼をするのが趣味の「乗りテツ」鶴見はくつる。
3人は1枚余っているという切符をはつねにくれ、寝台列車「北斗星」に誘います。軽い気持ちで乗ってみたはつねでしたが・・・なんと行き先は札幌。実はこれは3人の「鉄道部」の活動の一環でした。
さらに、彼女達は部活の許可を得るために必要な4人目の仲間を探しており、はつねは鉄道部に入らないかと誘われます。はつねは鉄道はまったくの初心者でしたが、3人のことがなんだか放っておけなくなり、鉄道部に入ることを承諾します(しかも部長として)。こうして、百合ヶ咲女子高校鉄道部、略して「ゆりてつ」が結成されたのでした。

そんなこんなで北斗星に乗って北海道へ向かうことになったゆりてつ4人組。北斗星は設備も食事も豪華で、車内はかなり快適です。青函トンネルを抜け、やがて電車は北海道へ。「秘境駅」小幌、「恋母めし」の室蘭など、鉄道マニアらしい(と思われる)スポットを回ります。そして、帰りはまた青函トンネルを抜けて、レア国道のある竜飛崎などを見ながら、最後は東京に戻ってきます。
突然の長旅ではつねは当然疲れたものの、すごく楽しかったのも事実。はつねはまたみんなと一緒にいろいろなところに行ってみたいと思うのでした。
ただ、今回の旅で予算を使い切ってしまったらしく、バイトしながら部活動をするハメに・・・。ただでさえ長距離旅行のうえ、一食ごとに1000〜2000円かけてればそりゃお金もなくなりますね。
そしてゆりてつの活動はまだまだ続きます。お金がないからか、多摩のモノレール周辺とか、銚子とか、やや近場でスケールが小さくなっています。「けいおん!」の聖地に行ったりもします。どんな土地であれ、電車や土地に関していくらでも語れる3人はさすが鉄道マニアといったところでしょうか。
巻末には夏休みの番外編も収録されています。こちらは鉄道話はそこそこに、キャラクターの可愛さやイチャイチャぶりを前面に出した内容です。

というわけで「ゆりてつ」第1巻です。
個人的には特に鉄道に興味はなかったのですが、可愛らしい女の子達の微笑ましいやりとりを見ながら、自然に鉄道知識が入ってくるように工夫されています。鉄道初心者であるはつねが読者の視点を代弁しており、少しずつ鉄道の魅力が理解できるようになっています。毎回いろいろなところに行くので、旅行漫画としても悪くない感じです。
百合好きとしては「ゆりてつ」というタイトルにいろいろ期待してしまいますが、その期待を裏切らない百合度を持っています。全体的に4人がイチャイチャしているシーンが多く、何かというと抱き合います。聖地巡礼の回では、はくつるとまろん&まみこが友達になったきっかけの回想がありますが、これもちょととくすぐったくて、恥ずかしい感じのエピソードです。
また、主人公のはつねはちょっと天然なのか、みんなに対して愛の告白にも聞こえるようなちょっと恥ずかしい台詞を言うことがあります。これには言ってる本人も聞いている3人も非常にドキンとしていて、ちょっと百合っぽい雰囲気が漂います。

全体的には、鉄道での旅を通して、女の子達のイチャイチャを見る漫画という感じです。「ゆりてつ」というタイトルはまさにぴったりだと思います。次巻はどこに行くのか、楽しみです。

ちなみにエピソードの数え方は「○百合」で、1百合、2百合、3百合・・・となっています。やっぱり狙っているんでしょうか。
