2012年01月23日

ささめきこと 第9巻(完結)

いけだたかしさんの「ささめきこと」第9巻を読みました。今回でついに完結です。

ささめきこと 9 (MFコミックス アライブシリーズ)

終盤だからか純夏たちの将来に関する描写がいくつか出てきており、純夏が空手関係で大学から声をかけられるエピソードもあります。これに関連して、純夏のお父さんが勝手に将来有望な若手空手家を純夏のムコにしようとする一幕も。このとき、純夏は初めて自分が汐を好きな事をはっきりと伝えますが、お父さんはショックを受けつつも純夏の気持ちを認めてくれたようです。

すでにお互いの気持ちが通じ合っている純夏と汐は、2人で汐の祖母の家に挨拶に行き、関係を実質的に認めてもらいます(ちなみにこのエピソード、時系列の違う修学旅行のシーンと交互に語られるので微妙にわかりづらいです)。このへんからはみんな基本的に2人の仲を応援するスタンスのようです。

この次の話あたりからは春になり、純夏たちは3年生になります。ここから急に展開が速くなっており、各季節の出来事がそれぞれ1ページで紹介されるなど、ほぼダイジェスト状態になっています。51話目で3年生になったと思ったら52話目ではもう卒業式です。純夏と汐の関係にもう特に障害はないのでもう語ることが無い、ということなのでしょうか・・・?


そしてついに最終回。純夏と汐は、卒業式が終わった後の教室で2人っきりになります(実はいつものみんなが物陰から覗いてたりしますが・・・)。

一緒に登校し、一緒に授業を受け、一緒にお弁当を食べる、そんな生活も今日が最後。一緒にしたかったことがまだまだたくさんあって、汐への気持ちが抑えられなくなった純夏は泣き出してしまいます。汐はそんな純夏を可愛いと言い、お互いの気持ちを改めて確かめ合った2人はキスを交わすのでした。

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どうでもいいけど、汐は最後まで名字で呼ばれるんですね・・・。


ついに完結の「ささめきこと」。

最終回はほぼ純夏と汐の2人きりで描かれており、これまでの2人の関係をまとめきったとても秀逸な出来だったと思います。汐が純夏を「可愛い」と言ったことや、キスシーンなど、これまでの2人の間の出来事を知っていると感慨深いものがあります。

もともと純夏が汐好みの「可愛い女の子」ではない(と純夏は思っていた)ことが2人のすれ違いの原因であり、ストーリー上も重要な意味を持っていたので、汐が最後に純夏を「可愛い」・・・つまり自分の好きな女の子だと認めたシーンは特に良かったです。

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・・・と、純夏と汐に関しては最後にうまくまとまったのですが、それ以外のキャラや世界観の描写に関しては全体を通して若干おおざっぱな印象を受ける作品だったのも事実です。

まず、新キャラが突然登場してストーリーの中心になったかと思えば初出エピソードが終わった途端に空気化する・・・というパターンが何回もありました。空気化する過程に関しても特に説明はなく、これまで通りその場にいるはずなのになぜか急に出番が無くなるという不自然なものでした。穿った見方をすれば、単に連載を引き伸ばすためだけに本筋に無関係なキャラを出したようにも見えます。

ストーリーが進むにつれて純夏と汐以外の百合キャラも何人か登場しましたが、ほとんどは上記の空気化パターンに当てはまるので最終的にはあまり存在意義を持ちませんでした。

比較的最後まで目立ったキャラで言えば、みやこ&朋絵は明確に恋愛関係ではあったのですが、最初から恋人どうしだったためにかえってそれ以上の掘り下げがなかったのはちょっと残念な点です。

後半から登場したまゆ&恋乃に関しては、最終巻でも明確な結末は描かれませんでした。というか恋乃は出番自体がほとんどありませんでした。ただ一応、まゆは純夏のことを吹っ切ったようですし、オマケの1ページ漫画ではまゆと恋乃が結ばれたようにも見える描写があります。


その他に気になったのは周囲の一般生徒たちの描写です。当初はレズというか同性愛者を差別する存在として描かれており、汐が実際にいじめを受ける描写がありましたし、純夏も自分が女の子を好きであることを隠していました。だからこそ、ささめく(こっそりと秘密にする)必要があったのであり、ファンタジーになりがちな百合漫画の中でこの作品にリアリティを与える要素だったと思います。

それがこの最終巻になると、なぜか名無しの一般生徒達はみんな純夏と汐をお似合いのカップルとして祝福しています。同性愛に対する偏見を払拭するような出来事が特にあったわけではないので、なぜ急にみんないい人になったのかよくわかりません。周囲からの偏見をどう乗り越えるのかは個人的に注目していた部分なので、うやむやなままいつの間にか受け入れられていたのはちょっと拍子抜けな感じでした。


とはいえ、純夏と汐の恋という本筋に関して言えばとてもレベルの高い漫画だったと思います。クライマックスかと思わせておいて実はそうでもない引っ掛けのような展開が多く、若干間延びしている部分もありましたが、要所要所で決めるところはちゃんと決めていました。名シーンも多いです。

なにより、女の子どうしの恋愛をメインテーマとして扱った作品が9巻も続く人気作品になったのは素晴らしいことだと思います。作者のいけだたかしさんには機会があればまた百合漫画を描いて欲しいです。

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ラベル:ささめきこと
posted by trinder at 21:55 | Comment(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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