2013年05月04日

英語版「Girl Friends」を読んでみた

森永みるくさんの「Girl Friends」の海外版がamazonで新品約600円と格安(5月初旬時点)だったので買ってみました。

Girl Friends: the Complete Collection 1

全2巻なのですが、安いのは1巻目だけだったので今回は1巻目だけ購入。

この英語版の第1巻は日本版の前半部分(全5巻のうち3巻目の途中まで)を収録しています。いわゆるペーパーバックなサイズなので日本の漫画と比べて厚めです。

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今回はこの「Girl Friends」を通して、海外で百合漫画がどのように訳されているか見ていきたいと思います。なお英文に合わせて日本語訳をつけていきますが、これは英語版を元に改めて日本語に直したもので、オリジナルの日本語版とは異なります。個人で勝手に訳したものなのでかなり適当ですがあしからず。


キャッチコピー&あらすじ紹介

裏表紙には、意味深なキャッチコピーとあらすじの紹介が載っています。

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まずはキャッチコピー。

Where does friendship end and love begin…?
(友情が終わり、恋が始まるのはどこから?)

事前に日本版を読んで内容を知っているので、このキャッチコピーがこの作品の内容をなかなか上手くまとめていることがわかります。

そして以下はあらすじ紹介。

When it comes to grades, bookish high school student Mariko Kumakura is at the top of her class.
(読書好きの女子高生・熊倉真理子は、成績に関してならクラスでも上位。)

「bookish」は「読書好き」。


But Socially, she's at the bottom. Shy and introveted, typically eating lunch by herself.
(でも社交性は低く、引っ込み思案で内向的。いつもお昼を1人で食べています。)

「shy」も「introveted」も「内気な、内向的な」。

Enter the charismatic and beautiful Akiko Oohashi, whose goal is to become Mariko's new BFF and burst her out of her timid shell.
(そんな真理子の前に、人気者で美人の大橋亜希子が現れます。彼女は、真理子と唯一無二の親友になりたい、そして臆病な殻を破ってあげたいと思っていました。)

文頭にいきなり動詞の「enter」でびっくりですが、「Enter the Dragon」のような「〜が登場」という用法かと思われます。

「BFF」=「Best friend forever(永遠の親友、唯一無二の親友)」(参照)。


In the process of transforming Plain Jane Mariko into one of the cutest, most popular girls in school, deep feelings begin to emerge that suggest something deeper than friendship.
(平凡な容姿だった真理子が学校でもトップクラスの美少女に変わっていく中で、彼女の中で友情よりももっと深い気持ちがあふれていきます。)

「Plain Jane」は平凡な容姿の女の子を指すスラング(参照)。


Will these feelings destroy the budding relationship between Mariko and Akiko, or will it turn into something else?
(この気持ちは、真理子と亜希子の間に芽生え始めた友情を壊してしまうのか、それとももっと他の何かへと変わっていくのでしょうか?)

ネタバレを避けつつも上手くまとまったあらすじではないでしょうか。


Chapter1

ここからは、Chapter1(第1話)の印象的なシーンを、日本版と比較しながら見ていきたいと思います。

学校でテストがあった直後、あっこがまりに声をかけてくるシーンからこの作品は始まります。

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We've in the same class for the past two terms.
(この2学期まで、私たちは同じクラスでした。)

But this is the first time we've actually talked each other.
(でも、お互いに会話したのはこれが初めてでした。)


あっこのペースに乗せられるまま、ファーストフード店に付き合わされるまり。あっこはまりの髪を褒めてきて・・・。

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Wow! Is your hair naturally straight?
(あなたの髪ってもともとストレートなの?)

ほぼ同じですが、日本語版では「自前ストレート」でしたね。

You have such nice hair!
(あなたの髪、すごく綺麗。)

Why don't you do anything to it?

(どうしてそのままにしておいてるの?)

日本語版では「すごく綺麗な髪なのに・・・もったいないよ」でした。


あっこはまりの綺麗な髪をうらやましがり、せっかくだから自分の行きつけの美容室でもっと可愛い髪型にしようと半ば強引に提案します。ちょっと困りつつも、約束どおりにやってきたまりでしたが・・・。

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Wow! You are so cute!
(とっても可愛い!)

ここは日本語版ではまりの服のカジュアル具合に「意外ー!」と驚く台詞でした。


そしていざ美容室に到着したまりでしたが、こういうところに来たのは初めてのため、どんな髪型にしたらいいのかわかりません。

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What exactly did you have in mind Akko-chan?
(あっこちゃんはどんな髪型がいいと思う?)

I don't know much about hair-styles... So just do what she says.
(私は髪型にはあんまり詳しくないから・・・彼女の言うとおりにしてください。)


そしてあっこが指示したのは、ちょっと思い切ったショートカットでした。

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You're the cutest thing ever! You look amazing!
(世界で一番可愛いよ!すごい!)

日本語版では「可愛い〜〜〜!やっぱりすごく似合う〜〜〜!」でした。英語版では最上級表現を使ってより大げさに喜んでいる印象です。

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The thing about short hair is that it only looks good on cute girls, like you.
(ショートヘアって・・・あなたのような可愛い女の子にしか似合わないからね。)

Cute girls… Like me?
(可愛い女の子・・・私が?)

日本語版では「やっぱりショートヘアって本当に可愛い子にしか似合わないじゃん?」「え・・・それはどういう・・・」という会話でした。日本語版では単なる一般論のようにも聞こえますが、英語版ではあくまで「あなた」が可愛いとはっきり表現することでより百合度が高くなっている気がします。


そして翌日、不思議な高揚感とともに登校するまり。あっことの出会いは、まりの中で何かを確実に変えていきます。

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I can feel the wind on my neck. It's nice.

(首に当たる風を感じ、気持ちがいい。)

And now I know what it's like to have a friend.
(こうして私は、友達がいるってどんなことかを知ったんです。)

ここは日本語版では単に「友達ができました。」という短い一文があるだけでした。

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それはそれで行間を想像する余地があってよかったのですが、英語版ではより詳しくまりの心情を述べています。日本語は短い言葉の中にいろいろな感情を込める手法がよく使われますが、英語ではもう少し具体的な内容に踏み込む傾向が強いようです。

元の言葉にどのような気持ちが込められていたかを判断するに当たっては翻訳者の感性・センスによるところが大きいと思いますが、この作品に関してはいずれも的確ながらも大胆な質の高い訳になっていると思います。



とりあえず第1話にあたる部分をかなり適当な解説とともに紹介してみました。おおむね日本語版と同じ内容ですが、ニュアンスが日本人以外には伝わりにくい表現を他の言葉に置き換えていたり、日本語版ではやや曖昧だった言い回しをより具体的にしている部分が目立ちます。このあたりは意図的な変更というより、言語の違いによるものかもしれません。どういう理由にせよ、結果的にあっこがまりを好きなことがよりはっきり表現されているため、日本語版より百合度が高くなっているように感じます。今回はまだ第1話しか見ていませんが、今後どういう表現が出てくるのか楽しみです。

なお日本の漫画を翻訳する際のお約束なのか、「〜ちゃん」「〜さん」をそのまま「-chan」「-san」としている部分が見受けられます。友人にあだ名やニックネームをつけること自体は英語圏でもよくあるはずですが、下手に海外版独自のあだ名を付けるとニュアンスが変わってしまうので、あえてそのまま「〜ちゃん」という表現にしているのかもしれません。

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posted by trinder at 21:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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