2014年03月06日

漫画版「ドキドキ!プリキュア」(上北ふたご)

漫画版の「ドキドキ!プリキュア」を読んでみました。

ドキドキ!プリキュア (ワイドKC)

これは「なかよし」で上北ふたごさんが連載していたコミカライズ版で、今回はムックに掲載された番外編に加え、描き下ろしの最終回も収録しています。


絵柄はアニメ本編のイメージを損なわない可愛らしいものとなっており、アニメのファンでも違和感なく読めると思います。表紙イラストではマナとキュアエースがやや大人っぽい表情になっていますが、漫画本編ではアニメに忠実です。

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この漫画版は単行本1冊で完結ということで、約1年(全49話)あったアニメの内容をどうまとめているのか、ファンなら気になるところだと思います。そこで以下では、各エピソードのあらすじをみどころとともに紹介。


第1話

冒頭はいきなりジコチューとの戦闘シーンから始まり、勝利後はありすの屋敷での作戦会議のシーンへと移っていきます。これまでの経緯や状況の説明、主要なキャラクターの紹介が主な内容。

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マナの初変身シーンや六花への正体バレ、ありすの過去など、アニメ序盤の重要エピソードが省かれていますが、限られたページ数で作品の魅力を理解してもらおうという努力が感じられます。

初回ということで情報量が多かったためか駆け足気味ですが、この後の回はここまで急ではないのでご安心を。


番外編

第1話で主要キャラの紹介が終わった後は、早くも番外編。ありすの屋敷の広大さや、ありすのハイスペックお嬢様ぶりが描かれています。この漫画のありすは他キャラをフォローする見せ場は多いものの自分がメインになる回はここくらいなので、ありすファンには貴重かもしれません。


第2話

キュアソードの正体がアイドルの剣崎真琴ではないかと考えたマナ達が、真琴に会いに行くエピソード。アニメの第5話が元になっています。

馴れ馴れしいマナに当初は困っていた真琴でしたが、マナが心から真琴のファンであることを知り、さらには平和のために戦うマナの姿を見て、真琴も心を開いていきます。


第3話

やっと4人揃ったプリキュアでしたが、ベールによってトランプ王国にワープさせられてしまいます。アニメ第7話が元。

真琴の故郷であるトランプ王国がジコチューによって滅ぼされた経緯が語られ、プリキュア達は真琴のため、そしてトランプ王国解放のために戦うために一致団結します。


第4話

トランプ王国から帰還してからというもの、マナは真琴と仲良くしてばかり。その様子はありすに「アツアツ新婚気分」と例えられるほど。

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マナが大好きな六花は、激しい嫉妬にかられます。言うまでもなく、アニメ版10話に相当するエピソードです。

六花がわざわざ調べたところによると嫉妬には「エンビー型」と「ジェラシー型」があるらしいのですが、六花は自分は両方に当てはまると分析しています。

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その後もなんとかして平静を保とうとする六花でしたが、気持ちは抑えることができず、ついにはおかしな妄想までし始めます。

マナ「六花…胸が苦しいの?」
六花「なんで?そんなことぜんぜん・・・」
マナ「わかった!あたしがなんとかする」(ぎゅっ)
六花「ええっ?マナ、でも・・・」

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マナ「マナをなくした悲しい六花!このキュアハートがあなたのドキドキ取り戻して見せる!」
六花「う〜ん きもちいい〜」


かなりの重症です。ある意味、アニメ版以上の暴走ぶり。

ちなみに、マナが「六花…胸が苦しいの?」と言いながら抱きしめてくるこの妄想はこの後のシーンでもう1回繰り返されます。

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六花の中の願望なのでしょうか・・・。


この後は真琴の歓迎会があるのですが、なぜかウェディングケーキが用意されており、しかもこれをマナと真琴が2人で切り分けます。

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「ケーキ入刀でしょそれじゃっっ」

六花の目が病んでいます。そしてついに耐えられなくなり、外に飛び出してしまう六花。

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ですが、追いかけてきたありすの言葉によって救われ、1人でくよくよ悩むことから抜け出すことができたようです。ありすに励まされること自体はアニメと同じですが、この漫画では「硬いダイヤモンドを傷つけられるのはダイヤだけ」、つまり六花が自分で自分を傷つけているという鋭い指摘がされているのが面白いです。

そしてなんとか嫉妬を乗り越えた六花は、マナのことが大好きという気持ちを改めて確認するのでした。

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第5話

キングジコチューの娘・レジーナが初登場。

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なぜかマナのことを気に入っているレジーナをマナは憎むことができず、友達になろうとします。しかしそれが、ジコチューに恨みを持つ真琴の反感を買ってしまいます。アニメ第16話に相当するお話です。

この漫画版ではレジーナは全編通してこれといった悪事をしておらず、マナの他の友達を排除しようとすることもありません。そのため、悪役の印象は薄め。真琴もこの回の後半でマナの熱い説得によりレジーナを一応友達と認めています。


ちなみにこのように誰にでも好かれるマナの姿は、六花に「友ハーレム」だと言われていました。


第6話

すっかりレジーナと仲良くなったマナ達は、海にキャンプに来ています。アニメ版のファンならおわかりかと思いますが、アニメ第22話に当たるエピソードです。

アニメではここまでの間に悪に染まったレジーナと敵対する展開があったり、マナ達がトランプ王国に乗り込んでレジーナを救う見せ場があったりしたのですが、この漫画版では綺麗にカットされています。

ただし、アニメのあの名台詞は海辺での会話できっちり再現。

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レジーナ「わたしね、マナと出会ってから、おかしくなっちゃったみたい。マナに優しくしてもらうと、胸がドキドキするようになったの。マナがつらそうな顔すると、胸がズキズキするようになったの。ねえ、なんだろ、この気持ち・・・。」
マナ「それは、人を思いやる気持ち・・・『愛』だよ。」

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レジーナ「愛・・・これが、そうなんだ」「マナ!大好きっ」

若干台詞の細部や順番が変わっているものの、アニメ21話とほぼ同様の会話です。アニメ版では非常に緊迫した状況でのやりとりであり、特に最後の「マナ、大好き」はマナのために犠牲になる決意をしたレジーナの遺言のようなニュアンスがありました。


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この漫画では同じ内容ながらも平和な一コマでの会話となっており、微笑ましいやりとりになっています。同時に、この幸せが長くは続かないことを予感させる、そんな切なさも感じます。


そしてこの直後にキングジコチューが現れ、レジーナは悪の心に染められてしまいます。マナ達を容赦なく攻撃するレジーナの前に、謎の戦士・キュアエースが現れるところで次回に続く。


第7話

レジーナをキングジコチューの手から助けられなかったことで落ち込むマナ。アニメ第23話相当のエピソードです。

ずっと部屋に閉じこもっていたアニメ版とはちょっと違い、マナは「レジーナを助けられなかったのは自分の力が足りなかったから」とばかりに1人で過酷なトレーニングに打ちこみます。しかしキュアエースに諭されたことで、仲間に支えてもらうことの大切さも知るという展開です。

亜久里の姿はまだ登場せず、あくまでキュアエースとしてマナを導いているのもアニメ版と違うところ。

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「あ・・・ 真っ赤なオバ・・・

真っ赤なオバ・・・ケって言おうとしたんだと思います、多分・・・。


そしてこの回の戦闘後にキュアエースの変身が時間切れで解けたことで、亜久里ちゃんの姿が初登場します。

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第8話

新たな仲間の亜久里も交えて、みんなで山でキャンプをする回。ほぼオリジナルですが、亜久里とマナ達との絆が強く結ばれるまでを1話でうまくまとめています。

亜久里メインですが、ありすのさりげない活躍にも注目。使命のために気を張り詰めすぎている亜久里の心を自然に解きほぐしています。この漫画のありすは自分から目立つことは少な目ですが、仲間達への気遣いに長ける縁の下の力持ちです。


第9話

妖精達が人間に変身するお話。アニメではシャルルメインの回などもありましたが、この漫画ではラケル主役のほぼオリジナルのエピソードとなっています。

アニメ36話ではゲストキャラの女の子に「初恋」をしていたラケルでしたが、この漫画では六花に恋心を描いているようで、六花とデート(?)しています。ラケルなりにいろいろと六花の気を引こうとするものの、まだまだ子供ということで空回りばかり。

ですがハイヒールの折れた六花を助けようと思った際に、「想いの強さ」により少しの間だけ大人の姿に成長します。

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ラケルファンなら歓喜、それ以外の人にはどうでもいい感じの半オリジナルエピソードでした。ちなみに六花のほうはラケルに特に恋心などは抱いていないようで、ラケルがずっこけるところでオチ。


第10話

町で美人コンテストが行われるのですが、実はこれはマーモが人間の「美への欲望」につけこんでジャネジーを集めるために仕組んだ罠。ほぼオリジナルエピソードですが、コンテストに出場した女の子達が薔薇型のジコチューになっていたあたりはアニメ前半の麗奈回をほうふつとさせます。

最後は、他者より美しくなる欲望に取りつかれ自分を見失ったコンテスト出場者たちに対し、キュアエースがお説教。その凛とした姿に惚れ込んだ審査員たちがキュアエースを勝手に優勝者にしてしまうところでオチです。

ちなみにこの漫画でマーモがメイン悪役なのはここだけ。この漫画は尺の都合か戦闘シーン自体無い回が結構あるので、マーモに限らずジコチュー幹部はだいたい空気だったりします。


第11話

期待の(?)、クリスマス回。アニメ版44話では六花の久々の暴走が目立っていましたが、この漫画では大幅に簡略化され、レジーナとマナの和解にスポットを当てています。

激しい攻撃を仕掛けてくるレジーナにマナはあえて反撃せず、ただレジーナを抱きしめ、愛の力で心を開かせようとします。

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「ね、あたしたち、またこんな風になれるから・・・」

と、なんか妙に色っぽい感じで復縁(?)を迫るマナ。


マナの言葉に心動かされつつも、父であるキングジコチューを裏切れないレジーナは苦しみます。しかし、マナだけでなくその仲間達もレジーナを助けたいと願ったことで、ついにレジーナの心は父親の呪縛から解放されます。

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レジーナ「マナ…大好き…」
マナ「あたしも!レジーナが大好きだよ!」



そしてレジーナは、マナ達とともにキングジコチューを説得する決意を固めるのでした。最後は、キュアエースの「これからが本当の試練ですわよ!」と、まるで打ち切りのような台詞で締められます。

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この後に収録されている最終回は実は単行本での「描きおろし」らしいので、連載版ではもしかして本当にここで終わりだったのでしょうか・・・。次回作「ハピネスチャージ」の準備などもあったと思うのでこのへんはコミカライズの宿命なのかもしれませんね。


最終話

描きおろしの最終回は、復活したキングジコチューが街を襲っているシーンから始まります。

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正直いつ復活したのか全然わからないのですが、まあページの都合上いろいろと仕方ないのでしょう。

マナはレジーナとともにキングジコチューの説得を試みるのですが、ここで何を思ったかキングジコチューを食事に誘います。そしてキングジコチューがプリキュア達と会食をしているシュールなイメージ図が。

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アニメ版でも、マナの脳内でラスボスが妙に人間臭いことをしているシュールなイメージ映像が流れていましたね。

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マナ達の説得も聞かず、あくまで世界を破壊しようとするキングジコチュー。しかしここで、アイちゃんの力によってプリキュア達が突然赤ちゃんに変身。それを見たキングジコチューは一瞬攻撃を止めてしまいます。

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人間だったころの、我が子を愛していた感情が蘇ったのでしょうか。


そしてここでゴールデンエターナルクラウンに秘められていた記憶により、かつてキングジコチューを襲った悲劇が明かされます。トランプ王国の王様が、病気の娘を救うためにすべてを犠牲にしようとし、その心の闇をつけ込まれてキングジコチューとなったこと。レジーナとキュアエースはアン王女の生まれ変わりであること。そのあたりのアニメの重要設定が3ページくらいでかなり駆け足で説明されます。

すべてを知ったプリキュア達は、王様を救うため、最後の変身を果たします。

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アニメでは仲間達の力を受け取ったキュアハートが最強形態「パルテノンモード」となって戦いましたが、漫画では全員が参加しています。コマ数が少なく詳細はわからないものの、他のプリキュア達に加えレジーナまで神々しい姿になっており、ここはもうちょっとじっくり見てみたかった貴重な一幕です。


そしてプリキュアの活躍によりキングジコチューは見事に浄化され、街に平和が戻ったのでした。愛が戻った世界で平和を満喫するマナ達の姿でハッピーエンドです。

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というわけで、上北ふたごさん作の漫画版「ドキドキ!プリキュア」。

全49話もあったアニメを単行本1冊にまとめているということで、かなり大胆な簡略化がされています。アニメ版のファンであるほど、好きなエピソードが再現されていなくて残念に感じることもあるかもしれません。

ですが、省略にせよ改変にせよ原作の魅力をきちんと理解したうえで行われているため、アニメの魅力は十分に再現されていると思います。アニメ版の全エピソードをそのまま再現することはできなくても、漫画オリジナルの展開で上手くエッセンスを織り込んでいるあたり、構成の上手さを感じます。


全体的にキャラクター描写に重きを置いており、各キャラの心情が丁寧です。特に女の子同士の「愛」にはアニメ同様に非常に力を入れています。少ない話数の中、六花の嫉妬だけで1話使ったのはある意味その極致。マナとレジーナの「愛」も、アニメ版とは少し違う形ながらも丁寧に描かれています。人によってはアニメ版よりこの漫画の描写のほうが好き、ということもあるかもしれません。


一方で戦闘シーン関係はかなりあっさりめで、アニメでの名バトルの多くが再現されていません。ジコチュー幹部が終始空気なほか、アニメの真ラスボスであるプロトジコチューもカット。そもそも戦闘シーン自体がまったく無い回が結構あります。このあたりは好みの問題もあるとは思いますが、ページ数の都合、掲載誌の読者層、そして人間ドラマに集中させるという意味では結果的には英断なのではないでしょうか。


アニメと違う点を挙げればキリがありませんが、漫画1冊という制限を考えれば、再現すべきところの選択は非常に適切だったと思います。いくつかあるオリジナルのエピソードも、アニメのエッセンスをきちんと盛り込みつつもオリジナリティのある出来の良いものになっています。「ドキドキ!プリキュア」の魅力を漫画1冊に詰めこんだ、素晴らしいコミカライズだったのではないでしょうか。

ドキドキ!プリキュア (ワイドKC)
上北 ふたご
講談社 (2014-03-06)


ラベル:プリキュア
posted by trinder at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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