2014年05月22日

まんがの作り方 第8巻(完結)

平尾アウリさんの「まんがの作り方」第8巻を読みました。

まんがの作り方 8 (リュウコミックス)

今回でついに最終巻となっています。

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この作品は、漫画家を目指す主人公・川口さんが、百合漫画を描くためのネタ作りとして後輩の森下という女の子とお付き合いをするから始まりました。その後めでたく漫画家デビューした川口さんと、実は以前から漫画家だった森下とで、今ではすっかり「漫画家漫画」な作風。

もともと川口さんは特に女の子好きではなかったものの、森下は本気で川口さんのことが好き。そんなわけで最初はちょっとだけ温度差があったりもしたものの、やがて川口さんも本心から森下のことを好きになり、両想いとなって現在に至っています。


そんな感じで今回の最終巻に至ったわけですが、お話の内容はいたっていつも通り。バーベキューに行ったり、卓球したりと、ゆるくてシュールな日常が繰り広げられています。

そんな中でも、森下がちょっとスランプ気味になったり、いまだにデビューできないアシスタントの武田さんの焦りと苦悩が描かれたりと、少しシリアスな描写も入っています。「何もないところに何かを作るってすごいことだよ」という川口さんの台詞からは、創作活動全般に通じる深いテーマを感じます。


終盤から最終回にかけては、イチャついてばかりで全然作業が進まない川口さんと森下に業を煮やした武田さんが2人を別れさせようとします。一応これが最後のクライマックスということになるとは思うのですが、そこはこの作品らしく決して重くならず、ゆるい感じに落ち着きます。同時に武田さんの成長や、川口さんや森下との信頼関係も伺える良いシーンです。


最終回も冒頭の武田さん以外に特別なイベントがあるわけではなく、言われなければ完結だと気づかないような内容です。ですが川口さんと森下さんの恋はこれからも続くことがきちんと描かれており、ちょっとだけ2人の成長も伺えます。こういう最終回もマイペースなこの作品らしいのではないでしょうか。

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少女A

巻末には読み切り「少女A」が掲載されています。1年半くらい前の「COMICリュウ」に掲載された読み切りだそうです。

グラビアでパンツを見せることをお仕事にしている女の子を描いた、シュールなような切ないような、不思議なお話。ちなみに特に百合ではありません。




ついに完結の「まんがの作り方」。

最後の最後まで独特のノリでマイペースです。一応の山場っぽいものがありつつも、ここからさらに何巻も続きそうないつも通りの雰囲気で終わっています。

もともとこの作品は読み切りで、出版社の賞を受賞したものがそのまま連載化されたものでした。そこから8巻(年月で言うと6年)も話が続いたのは考えてみるとちょっとすごいです。読み切り版(単行本では第1話として収録)では百合漫画のネタ作りのために同性と付き合うというコンセプトでしたが、連載版では漫画のネタのためだけでなく純粋に相手を好きになっていく過程が丁寧に描かれていました。

一方で当初の目的だったはずの百合漫画制作は有耶無耶になった感があり、川口さんが森下との実体験を漫画にどう活かしているのかはあまり描かれませんでした。このあたりはちょっと残念な気もしますが、良い意味で行き当たりばったり感あふれるこの漫画ならこれはこれでいいかな、と思えてしまいます。


ちなみに川口さんと森下以外にも女の子が好きな女の子が結構出ていたりもします。森下のことが好きな編集者の吉永さんとか、川口さんのことが好きな野村先輩とか。

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武田さんも最後は川口さんが「好き」と認めていました(恋愛的な意味かはともかく)。自分の気持ちを素直に認めることができるようになった、という意味では武田さんの成長も伺えます。


物語のベースとして百合を描きつつも、漫画家としての創作活動に関する話や、独特のシュールなギャグが絶妙に融合していた作品でした。物語としての進展は巻によってあったりなかったりでもどかしい部分もありましたが、それを含めて非常に楽しめた作品だったと思います。

まんがの作り方 8 (リュウコミックス)
平尾 アウリ
徳間書店 (2014-05-13)


こちらはとらのあな特典のイラストカード。

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posted by trinder at 05:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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