2014年11月08日

フラグタイム 第2巻(完結)/ さと

さとさんの「フラグタイム」第2巻を読みました。



3分間だけ時間を止める能力を持った主人公・森谷美鈴。しかし、クラスメイトの村上さんにだけはなぜか時間停止が効きません。

止まった時間の中で2人だけの秘密を共有するうちに、美鈴は次第に村上さんに惹かれていきます。そして村上さんに誘われるまま、2人はなんとお付き合いをすることに。美鈴がますます村上さんにのめり込む一方、村上さんの真意は謎のままです。そんな中、美鈴が時間を止めていられる長さが少しずつ短くなりだします。

ここまでが第1巻




自分と村上さんがつながっていられるのは時間停止能力のおかげだと考える美鈴は、力が弱まっていることを村上さんに隠そうとします。しかし、止められる時間は思った以上に短くなっており、ついには村上さんにも気づかれてしまいます。

時間の止まった2人だけの世界を作れるのもあと少し。村上さんはこれまで以上に美鈴に対して積極的に振舞うようになります。

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その大胆な行動の数々は、美人で人気者の優等生として振舞う普段の村上さんとは大きく印象の異なるものでした。そして美鈴は、これこそが本当の村上さんなのではないかと思うようになります。

誰かに必要とされたい、誰かに本当の自分を知ってもらいたい──それは、美鈴だけでなく村上さんもずっと抱いていた気持ちでした。2人が止まった世界の時間を共有できたのは、その思いが呼応したからなのかもしれません。

美鈴は勇気を振り絞って自分の正直な思いを村上さんにぶつけ、村上さんからも本心を聞き出そうとします。そして、村上さんの答えは──。



感想

「時間停止」というSFとして普遍的なテーマを扱いつつも、少女たちの繊細な内面の象徴としての意味を持たせることで、光る個性を発揮している作品です。

序盤は内気な主人公の内面世界の象徴として、そして村上さんが現れてからは「2人だけの世界」そのものとして、時間停止シーンが非常に印象的に描かれていました。美鈴が1人きりの世界にこもるのをやめ精神的に成長したことで、時間停止の能力もなくなり物語が終息していくという展開もとても綺麗だったと思います。

そして美鈴の世界に一人だけ入れたということは、村上さんも一見全然違うタイプながらも美鈴と似た心の問題を抱えていたということ。この作品はそんな村上さんの成長物語でもあったことが、後半に向かうにつれて明らかになっていきます。

時間停止が効かない=時間を共有したい=好き、という構図もラブストーリーとして上手く活かされていたと思います。設定やシナリオをきちんと練ったうえできちんと説得力のあるストーリー展開をしているのは、百合漫画としては非常に貴重です。

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2巻で完結と言わずにもっと読んでみたかった気もしますが、1巻の時点ですでに終着点は示唆されていましたし、物語がブレることなく完結したことはむしろ評価点なのかもしれません。物語にまさに必要な長さぴったりで終わった絶妙な構成だったと思います。

少女達の成長を描いた青春ストーリーであり、同時に百合ものの恋愛漫画としても素晴らしい出来でした。個人的には最近の百合漫画の中でもかなりお気に入りの作品です。

 

こちらはとらのあなの特典カード。
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posted by trinder at 08:42| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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