2015年01月24日

乙女理論とその周辺 〜メリルとエッテ〜

最近出た「月に寄りそう乙女の作法2」がなかなか楽しかったので、プレイを中断していた前作「乙女理論とその周辺」も改めてプレイしてみることにしました。

あらかじめ言っておきますが、女装ゲーなので注意。


シリーズの歴史が少しややこしいのでちょっと説明しておくと、第1作は2012年発売の「月に寄りそう乙女の作法」です。デザイナーを志す主人公(男)が、服飾専門の名門女子校に通うため女装してお嬢様のメイドになるというストーリーでした。

月に寄りそう乙女の作法 -LimitedEdition-


この第1作で誰とも結ばれなかったエンディングからつながるパラレルストーリーが、2013年発売の第2作「乙女理論とその周辺」。主人公の妹がパリに留学して服飾の勉強をすることになったので、主人公もそれに付き添うというストーリーでした。舞台は女子校なのでもちろん今回も女装。

乙女理論とその周辺~Ecole de Paris~ -Limited Edition-


そして昨年12月に発売された最新作が、「月に寄りそう乙女の作法2」。タイトル通り第1作「月に寄りそう乙女の作法」からつながる続編ですが、第2作「乙女理論とその周辺」に由来するキャラクターや設定も多数取り入れられています。

月に寄りそう乙女の作法2 -Limited Edition-




今回の記事で紹介するのは、第2作「乙女理論とその周辺」です。なぜ今になって紹介するかというと、百合属性を公式に売りにしていたキャラクター達がいたからです。


メリルとエッテ


「乙女理論とその周辺」のメインヒロインは3人。そのうち、主人公の妹・りそなは第1作のサブキャラからの昇格ですが、あとのブリュエット(愛称エッテ)とメリルは新キャラクターです。

ブリュエットは貴族のお嬢様で、メリルはその従者。しかし同時に、幼馴染で親友という間柄でもあります。ブリュエットの家には幼少期を修道院で過ごすというしきたりがあり、そこで孤児として預けられていたメリルと出会いました。

2人の仲の良さは公式でも強くアピールされています。例えば、公式キャラクター紹介のうちメリルのページには「女性同士で結婚ができないということを知らないまま、ブリュエットと見様見真似で式を挙げた経験を持つ」とあります。

一方、ブリュエットのページには「幼い頃の遊びでメリルと婚約を交わしており、メリルは子供の頃の戯れとして意識していないが、ブリュエットは今でも当時のことを口にしてはメリルを困らせている。」との記述が。

これはかなり良さそうな設定ではないでしょうか?特にブリュエットの声にはそこはかとなく百合の香りを感じます。



そんな事前情報に違わず、ゲーム本編でも2人はかなり怪しい関係として描写されています。2人の情事(?)を主人公が目撃してしまいアタフタするというシーンも何度か登場。

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ちなみに各イベントにはシーン名がついているのですが、上のイベントのシーン名は「百合プレイ」、下は「危険な関係」です。明らかに狙っています。

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ここまでだとギャルゲーにありがちなサービスシーン兼ギャグシーンに見えてしまうかもしれませんが、実はブリュエットは本気です。ある程度仲良くなると、ブリュエットはメリルへの秘めた恋心を朝日(主人公)に語ってくれるようになります。

公式のプロフィールにも載っていた、幼少時に修道院で婚約したという話もここで語られます。

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ブリュエットはこの時誓ったメリルとの結婚を今でも真剣に考えています。メリルを押し倒したりしていたのも、その時の誓いを果たそうとしてちょっと暴走してしまった結果。


しかし、メリルはその後修道院のマザーから「女性同士の結婚はいけないもの」と教えられたため、あの婚約をもう本気で考えてはいないようです。

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「恋愛感情はない」と明言するなど、至ってノーマルなメリル。

そんな感じで、友人あるいは主従としての関係は良好なものの、恋愛面に関しては2人の間にかなりのギャップがある模様。


その後もブリュエットはメリルへの愛をアピールし続けますが、特に進展なし。

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ブリュエットの相談役にされてしまった朝日(主人公)も、あまり明確な解決策を示すことはできません。

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そんな感じで、いまひとつ解決の糸口が見えないまま個別ルートへ分岐していきます。


メリルルート

メリルルートでは、当然ながら朝日とメリルが仲良しになります。それを見たブリュエットがどうするのかと思ったら・・・

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ブリュエット「私の完敗だ…メリルのことは君に託そう」

なんと勝手に負けを認めて身を引いてくれました。あっさりです。何年も引きずってきたメリルへの恋心をこんなに簡単に捨てていいのでしょうか?朝日がメリルを巡ってブリュエット張りあうシーンなども特に無かったので、「私の完敗だ」と言われてもピンときません。


ちなみにこの場面のシーン名は「強敵と書いて『ゆり』と読む間柄」。

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強敵と言うほど戦った覚えはありませんけどね・・・。



そしてルート後半では、朝日が実は男性であることがメリルに発覚。普通なら怒ってもいいところだと思うのですが、メリルは怒るどころか「男女なら結婚できる」と喜びます。あっさりです。

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女性同士でさえなければ何の問題もなかったということなのでしょうか。ブリュエットはこの段階ではすでに空気になっていますが、きっと草葉の陰で泣いていることでしょう。



舞台が服飾学校という関係上、基本的にどのルートも終盤はファッションショーがクライマックスになっています。メリルルートの場合は、メリルのデザインした服をブリュエットが着るという展開。シナリオ後半で空気になりかけていたブリュエットが最後の輝きを放つ場面です。

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「大好きな人のために服を作る」というシチュエーションは、このシリーズで好んで用いられるモチーフです。基本的には朝日がヒロインのために服を作るというパターンが多いのですが、今回は女性同士の組み合わせになった珍しいパターン。

ただ、前述のとおりこの時点ですでにメリルは朝日と恋人になっており、ブリュエットはとっくに空気。それを最後だけまた引っ張りだしてメリルとの絆を語られても、どうにもチグハグな感じが否めません。いろいろ面白くなりそうな要素はあったのに、活かしきれずにバランスの悪いシナリオ構成になってしまった印象でした。



ブリュエットルート

一方のブリュエットルートでは、ブリュエットが朝日が男であることに気づいてしまうという展開です。

朝日の正体を知ったブリュエットは、ショックを受けるわけでも怒るわけでもなく、むしろ喜びます。

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なんでも、ブリュエットは「たまたま好きになったひとが女の子だっただけ」で、女の子でないといけないわけではないそうです。

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あっさりです。ブリュエット自身のルートであるにも関わらず、メリルルート以上に葛藤が希薄です。

「たまたま好きになったひとが女の子だっただけ」というのも一見良いことを言っているようですが、これでは男性とも恋愛できることを手っ取り早く説明するためのタテマエのように聞こえてしまいます。

女装ゲーなことは最初からわかってプレイしているので、べつに百合が女装要素に勝つことまでは期待していません。ですが、ブリュエットが失恋するにせよ、異性愛に乗り換えるにせよ、もうちょっときちんと過程を描いてほしかった気がします。

ブリュエッテのルートは、百合や女装抜きにしても正直ちょっとひどい出来です。かなりの部分が汎用バッドエンド(あるいはネタエンド)ルートとの共用になっており、ブリュエッテのルートである必要性があまり感じられません。同性愛者であること以外に確固たる個性が無く、しかもその同性愛者というアイデンティティすらもあっさりと捨ててしまうので、特に描くことがなかったのかもしれません・・・。


アフターアフター


メリルとブリュエットの2人は、「月に寄りそう乙女の作法2」の限定版に同梱されている「桜小路ルナ アフターアフターストーリー」にも登場します。

こちらはシリーズ第1作「月に寄りそう乙女の作法」のメインヒロインであるルナの後日談なので、パラレルである第2作「乙女理論とその周辺」からは直接はつながっていません。そのため、メリルとブリュエットは朝日に攻略されていない設定。そのせいか、この時空ではブリュエットはメリルの独占に成功しているようにも見えます。

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ブリュエット「朝日さえいなければ、私のもの、私のもの、むふふふ…」


ブリュエットは「乙女理論とその周辺」では同性愛者であることを親しい人間以外には隠していたのですが、この「アフターアフター」ではかなりオープンにしている印象です。メリルのほうも明確に拒否していはいないようにも見えます。もしかしたら描かていない期間に何か変化があったのかも・・・?

なおこの「アフターアフター」での設定は正史として「月に寄りそう乙女の作法2」に受け継がれているようです。なのでブリュエットの長年の恋心がついに報われたという可能性を信じてみてもいいのかもしれません。


りそなルート

「乙女理論とその周辺」の話に戻りますが、最後にセンターヒロインであるりそなのルートをちょっとだけ紹介。

このルートでは、朝日(主人公)の出生の秘密、そしてそれを巡る財閥一族の抗争を背景とする非常に壮大なストーリーが展開されます。ルナ様を始めとする第1作のヒロイン達も登場し、おなじみの服飾ネタも絡めて非常に豪華な内容です。

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他のルートと比べて質・ボリュームともに突出しており、明らかにこの作品の本編です。ブリュエットルートの適当ぶりは何だったんだろうという落差。

シナリオ後半では、事態を裏で操っていた巨大な敵の正体が判明し、りそなが仲間達と手を取り合って立ち向かう展開になります。友達の少ないひきこもり少女であったりそなの成長物語・友情物語としても感慨深いストーリーです。女子校という舞台の関係上、敵も味方も多くは女の子。

その過程でサブキャラ達の絆が描かれることもあり、個人的にはディートリンデ様とヴァリーの主従が好き。

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このシーンの後の2人はなんだかちょっと妖しい雰囲気になっています。あくまでサブキャラという関係上それほど深く掘り下げられるわけではないものの、だからこそいろいろ想像のしがいがあるかも?

悪役側でも、一度捨てられても健気にお嬢様のことを想っているメイドなど、何らかの形で女の子達の絆が描かれています。


あくまでメイン要素は女装なので百合目的でプレイするのは必ずしもおすすめできませんが、女の子同士の絆が丁寧に描かれている作品だと思います(事前に散々期待させたブリュエットが一番適当だったのは皮肉ですが…)。もし興味があればシリーズの他の作品ともどもプレイしてみてください。

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posted by trinder at 15:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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