2015年09月18日

Destiny of the Shrine Maiden(英語版『神無月の巫女』)

先月KADOKAWAの漫画がセールだった時にちょっとだけ触れた、「神無月の巫女」。

 

久しぶりにアニメ版を見たくなってしまったので、勢いでDVDを購入してしまいました。ついでなので英語の勉強もしたいと思い、北米版にしてみました。

パッケージはこんな感じ。

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パッケージを見る限り、北米版ではタイトルが「Destiny of the Shrine Maiden」となっているようです。直訳すると「巫女の運命」。

ただし本編中のでは日本語のタイトルロゴがそのまま使われており、ナレーションや予告編(英語吹き替え)でもそのまま「Kannaduki no Miko」と呼ばれています。


メニュー画面はこんな感じ。

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音声は日本語と英語を選択可能です。字幕は英語を収録しておりON/OFFの切り替え可能。映像特典はPVとノンクレジットOPくらいですが、他にアートギャラリーとしてイラストを何点か収録しています。

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英語吹き替え版「神無月の巫女」

以下では、作中の台詞のうちどう訳されているか気になったものをかいつまんで紹介したいと思います。英語吹き替えと英語字幕で微妙に内容が異なりますが、主に吹き替え版を紹介します。


まず第1話冒頭、作中で最初の台詞。月の社をバックに、主人公・姫子のナレーションから始まります。

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「月には、朽ち果てた誰も知らない社があるの。」

"On the surface of the moon, there is an abandoned shrine that no one knows about."

☆abandoned:破棄された
☆shrine:神社

「すべては、ここから始まりました。」

"And that was a very place where everything began."

とてもわかりやすいきれいな英文です。関係代名詞のthat、関係副詞のwhereなどをほど良く盛り込んでいます。教科書に例文として使いたいくらい。



続いて、千歌音の初登場シーン。

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「ごきげんよう、来栖川さん。」

"Have a nice day, Ms. Kurusugawa."

「ごきげんよう、宮様。」

"Have a nice day, too. Miyasama."

初対面のように見えなくもないですが、実際にはこの時点で2人はかなり親しい仲。ただしそのことは周囲には内緒のため、姫子は人前では千歌音のことを通称である「宮様」と呼んでいます。

「ごきげんよう」は「Have a nice day」。

そして宮様は英語版でもそのまんまMIYASAMAのようです。外国人発音でミヤサーマとなっているのはご愛嬌。



この作品は基本的には伝奇ものということになると思いますが、百合とかロボットとかいろいろな要素が入っていて忙しいアニメです。第1話のラストは、それらの要素をすべて1画面に凝縮したカオスすぎる名シーン。

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うしろで巨大ロボットたちが戦ってるのを無視するかのようにキスを交わす姫子と千歌音。ある意味、この作品を象徴する1カットかもしれません。



この後の次回予告では、姫子の代名詞ともいえる台詞がさっそく登場します。

「千歌音ちゃん、私どうしたらいいのかな?」

"Oh,Chikane, tell me. What am I supposed to do?"

☆be supposed to〜:〜することになっている、〜すべきとされている

次回予告の最後に姫子が必ず言う台詞。もとの日本語のシンプルさと比べると、ちょっと長めの英文になっています。そのためか、第2話以降では少しずつ簡略化され、最終的にはおおむね"Chikane, what am I supposed to do?"で落ち着きます。基本的に次回予告の最後に毎回この台詞を言いますが、回ごとに声優さんの演じ方が変わっているのが面白いです。



ちょっと間を飛ばして、中盤あたりのエピソード。敵が姫子に化けて千歌音を誘惑してくるのですが、千歌音がそれを見破る時の台詞が一部で人気になりました。

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「こんなの姫子じゃない!私の姫子じゃない!」

"This is a lie. It isn't her. She's not like that!"

吹き替え版は直訳すると「姫子はこんな風じゃない」という感じで、ちょっとマイルドになりました。ですが字幕版は原語に忠実に"This isn't Himeko. Not my Himeko!"となっています。



前半では姫子への想いを内に秘め、親友として良き理解者に徹していた千歌音。ですが中盤からクライマックスにかけての千歌音の豹変は当時の視聴者を驚かせました。

「こんなママゴトはもうたくさん!」

"I've had enough of all these childish games any more."

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「姫子、私ね、ずっと欲しかったの。私とあなたの夜が。私があなたを奏でる永遠の夜が。まだ終わりにしたくないの。」

"You see? This is what I've always wanted. To spend a night alone with you. An eternal night together when I can crash your body. And I'm not ready to let it end. "

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「だからお願い。静かにしてね。」

"So do me a favor, just be good and stay quiet."

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「好きよ、姫子。」


"You. You are who I love, Himeko."

姫子を自分の欲望のままに犯した千歌音は、さらに敵勢力である「オロチ」に寝返ります。ここが物語の転機となっています。



終盤ではついに姫子と千歌音の決戦のシーンが。千歌音が姫子を斬りつけながら愛の告白をする場面は視聴者に強烈なインパクトを与えました。

とりあえず台詞がすごく長いです。

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「あなたが好きなの。あなたの瞳が好き。春の銀河のように煌めく瞳が。春の日差しのように優しいまなざしが好き。あなたの髪が好き。そよかぜにひらめくシルクのような、さらさらの髪が好き。あなたの唇が好き。蜜のようなくちづけをくれる、切ない吐息を聞かせてくれる、唇が好き。あなたの声が好き。高くて甘い、心に染み透る、澄み切った声が好き。あなたの体が好き。抱きしめると折れてしまいそうな、華奢な腰が。薄くて、でも形の良い胸が。重ねた肌から伝わってくる、ぬくもりが好き。でも、一番好きなのは、あなたの心。もろくて傷付きやすい、でもどこまでも純粋で美しい、決して誰も責めたりしない、すべてを許す、優しさに満ちた魂の。好きよ、大好き。あなたのすべてが愛おしくてたまらないの、姫子。」

ここまで、計ったら1分半くらいありました。英語版の台詞を全部書き起こしてみたかったのですが、あまりに大変なので断念しました。

とりあえずわかりやすいところだけ書いておくと、「最初のあなたが好きなの」は"The truth is, I love you."です。

繰り返される「〜が好き。」は"I'm in love with 〜"となっています。直訳すると「〜に恋している」という意味なので、恋愛感情としての好きだということがハッキリした印象です。

最後の「好きよ、大好き。あなたのすべてが愛おしくてたまらないの、姫子。」は、"I love you, I really do. I can't help loving every single part of you, Himeko..."。「can't help〜ing」は「〜せずにはいられない」ですね。

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「あなた以外のものなんかもう何もいらない。ただあなただけが欲しいの。あなたと私、2人だけの永遠の夜が。」

"I don't need anything else in the world other than you. You're the only thing I truly want. One everlasting night with you, just two of us."



最終回では、千歌音の行動の真意が明かされます。「日の巫女」である姫子と「月の巫女」である千歌音は、オロチを封印し世界を救うための生贄としてどちらかがどちらを殺さなければならない宿命を負っていたのです。千歌音は、姫子に殺してもらうためにあえて姫子に憎まれようとしていたのでした。姫子は、ここで初めて千歌音の本当の愛に気付きます。そして、自分も千歌音を愛していたことにも。

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「わたしも、千歌音ちゃんが好き。」

"I love you, Chikane."


「好き」の意味の違いという百合作品王道のやりとりも、しっかり英訳されています。


「同じ『好き』だから。わたしの好きも、『千歌音』ちゃんと同じだったから。」

"Because I was feeling the same love for you, that you felt for you me, Chikane."


しかし千歌音は自分が姫子を傷つけたことを悔い、姫子の愛を受け入れることができません。姫子はそんな千歌音の唇をキスで塞ぎ、自分の気持ちを告白します。


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「お日様は、お月様があるから輝くんだよ。」

"The sun can shine because it's with the moon. "

「笑顔になれる。元気になれる。お月様が輝き方を教えてくれるから、もっともっと輝きたいって頑張れるの。」

"It can smile and glow with happiness. Because the moon teaches the sun how to shine. I can struggle with all its might to become brighter."

「お月様のために、私、ずっとずっと月を照らし続ける。」

"I want to shine upone the moon."


「千歌音ちゃんの姫子になりたい。」

"I want… I want to become your very own Himeko. "


「千歌音ちゃんの姫子になりたい」は日本語版でも印象的な台詞でしたが、英語版ではvery own(〜だけの)がついてさらに強調されています。


ちなみに英語版ではこの後にもう一言台詞が増えているようです。

"And warm the moon with my light."

直訳すると「そして、月を私の光で暖めてあげたい」という感じでしょうか(あまりヒアリングに自信なし)。





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「好きだよ、千歌音ちゃん。」

"I love you, I love you Chikane."


「誰の前だって言える。恥ずかしくなんかないよ。本当だよ。」

"I'll say it anywhere, anytime. I'm not ashamed or embarrassed. I swear you."


「愛してるよ、千歌音ちゃん。」

"I'm in love with you, Chikane."


こうしてお互いの愛を確かめ合った2人。ですが、世界を救うために千歌音が犠牲になるという運命は変わらず、2人は再び離れ離れになってしまいます。

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「姫子!私また生まれてくる!きっとまた帰ってくる!だから見つけて!私のこと見つけてね!きっとよ!」

"Himeko, I'll reincarnate! I'll come back to you! But you've got to look for me. Promise me you never stop looking. Please promise me you never forget!"

「忘れないよ!絶対!姿も記憶も関係ない!私わかる!千歌音ちゃんんこと絶対見つける!見つけるから!」

"I'll never forget! I won't! Neither memory nor appearance will matter. I'll never stop looking for you as long as I live, and I'll find you Chikane!"

reincarnate(転生する)というマニアックな単語が使われています。ちなみにここは字幕版ではやや簡単なrebornです。

この別れのシーンでは、日本語版では「見つけて!」「きっと!」などの短い同じ言葉をあえて繰り返している感じでした。ですが英語版は少しずつ微妙に表現を変えて同じ言葉の繰り返しを避けています。このように繰り返しを避ける傾向は英語の特徴かもしれません。




そして、エピローグ。

千歌音の犠牲により、地球は「オロチ」のいない平和な世界として再生されました。しかし、千歌音が最初から存在しなかったという一種のパラレルワールドになっています。誰も千歌音の存在を覚えてはいません。

姫子は平和な生活を送りつつも、ときおりどこか心に穴が開いたような喪失感を感じています。まるで自分がまだ知らない誰かを待ち続けているような感じ。

そんなある日、姫子は1人の少女に出会います。その姿は、姫子が心のどこかで待っていた人そのものでした。

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姫子と千歌音のナレーションにより、物語は幕を下ろします。

『私達は、また、恋に落ちる。』

"We will fall in love, once again."

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印象的な一言だけ紹介しようと思っていたのですが、思った以上に長くなってしまいました。

全体的にかなり良い感じの翻訳がされているので、ついつい聞き入ってしまいます。単純な直訳ではなく、しっかり英語として自然な表現になっている感じです。それでいて文法的にはほぼ中学英語の範疇に収まっており、とてもわかりやすいです。私自身はそれほど日本のアニメの海外版を見ているわけではありませんが、これはかなり良くできた翻訳のような気がします。

英語版の声優さん達もイメージぴったりのハマり役です。姫子は日本版の雰囲気にかなり近く、かよわさと強さを併せ持った演技を聞かせてくれます。ちなみに英語版姫子の声優さんは「けいおん!」の唯や「セーラームーン」のうさぎ、「ストライクウィッチーズ」のバルクホルンなども演じているようです。演技の幅が広いですね。

千歌音の声優さんもかなり良い感じです。さすがに日本語版の川澄綾子さんの雰囲気そのままとはいきませんが、自分なりの解釈で見事に演じきっていると思います。普段の落ち着いた雰囲気と感情が高ぶっているときの変化が日本語版より大きい印象。特に終盤の"The truth is, I love you."(あなたが好きなの)のから始まる一連のくだりは必聴です。


北米版DVDには日本語版の音声もそのまま収録されているので、日本語版とほぼ同様の仕様で楽しむこともできます。作品のファンで英語版に興味がある人、あるいは初めてこの作品に興味を持った人も、機会があったら視聴してみてください。



ちなみに海外のDVDは日本と「リージョン」(地域ごとに決められた仕様)が異なるために国内のプレイヤーでは再生できないおそれがあります。

ただしPC内蔵のドライブではそのあたりの制限がゆるいようで、私のPCでは問題なく再生できました。もしできなくても外付けのDVDドライブを買ってリージョン変更の操作をすれば再生できるようになります。今ならDVD専用のドライブなら2000〜3000円程度で買えるはず。
 
なおBlu-rayだと日本とアメリカが同じリージョンに設定されたため、海外のBlu-rayをほぼ無条件に再生できるようになっています。「神無月の巫女」がまだBlu-ray化されていないのが残念。
 

 






posted by trinder at 07:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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