2016年12月26日

おねだりしてみて(雪子)

「ふたりべや」でおなじみの雪子さんの短編集「おねだりしてみて」を読みました。



収録作品はすべて百合。描きおろし、商業誌での読み切り、同人など、出典は様々です。


おねだりしてみて

表題作。今回のための描きおろしです。

女子大生の郁は、隣人の瑠璃子がネット声優(ネットで仕事を請けるフリーのアマチュア声優)をしていることを知ります。郁は、引きこもりで大人しい瑠璃子がちょっとエッチな演技をしていることに興味深々。あるとき郁は、自分の考えた恥ずかしい台詞を言わせながら瑠璃子を押し倒し……。

onedari1er2.jpg

ヒロインが引きこもりでネット声優というとてもマニアックな舞台設定です。声優百合漫画までなら過去にもありましたが、ネット声優ともなると相当珍しいのではないでしょうか(というかそういう人達が存在すること自体それほど知られていないような気がします)。

主人公がそういうディープな世界を知り、ちょっと過激な欲求を抱く姿が描かれています。最後は、主人公が満足してしまったのか寸止め的に終わり。この2人がこの後どうなったのかとても気になります。ぜひ連載化などで続きを読んでみたいです。


魔法少女が将来なりたい職業第1位になりました。

初出は「きららフォワード」に載った読み切り。今回唯一、商業作品からの出典だったりします。

魔法少女が公務員であり、かつ市民のアイドル的存在になっているという世界観。魔法少女に憧れる女の子・もねは、親友のレオナを(半分強引に)誘い、魔法少女養成学校の入学試験に挑みます。

思った以上に正統派の、努力と友情のお話。これぞ魔法少女という感じの清く正しいノリです。少し陰のある作品が多い今回の作品集の中で、むしろ存在感を発揮しています。


No.105

ちょっとしたSFもの。舞台は研究所で、博士の助手が主人公。ヒロインは主人公の研究対象であり、液状のボディを持つヒューマノイドです。博士(女性)を含めた三角関係があったり、ヒロインの特殊なボディを活かした百合ネタがあったりします。最後は子供を作ることまで考えて……?


筍と帆立の春雨サラダゆず胡椒風味

学生(と思われる)主人公と、年上の社会人の女性の交流を描きます。2人で食べる手料理、そして大人の女性に対する憧れがメインテーマでしょうか。2人の身の上が断片的にしか語られず、謎も多い不思議なお話です。


泣きたい人は何処にもいない

好きな人に自分を傷つけさせるのが好き、というちょっと危ない嗜好を描いた作品。あとがきによるとかなり痛い内容になる構想もあったようですが、ちょっぴり危ない趣味のあるバカップルくらいに落ち着いている……かも?


はちみつ日和

双子の姉妹もの。キスしたり、結婚しようとしたりとかなりの仲良しです。

onedari1er3.jpg

姉妹での結婚について妙にリアルに考えているのが面白いです。「既に名字一緒だし……同棲してるし……やることないねえ」


ふたりべや

雪子さんの代表作「ふたりべや」の番外編?……と思ったらちょっと違う雰囲気。かすみと桜子が当たり前のようにキスしていたり、イチャつきぶりがいつも以上です。桜子が自分の欲望とても素直で、かすみをノリで押し倒してみたりも。

onedari1er1.jpg

実はこれ、連載開始前に描かれた同人誌版のようです。時系列が前後していたり、細かい設定が少し違うように見えたりするのはそのため。今になって作品の原形を読めるとは、ちょっと貴重な機会ですね。

最初からかなり直接的にイチャついている同人誌版に対し、連載版は(それと比べれば)かなり丁寧に段階を踏んで仲良くなっていったことが伺えます。どちらも魅力的です。



執筆時期、ジャンル、出典を越えて、様々な作品が収録されています。いずれもコンセプトがはっきりしていて、頭を切り替えながら読むのが楽しいです。「ふたりべや」だけでない雪子さんの多彩さを感じることができる百合短編集でした。



【電子版】


タグ:ふたりべや
posted by trinder at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/445272536
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック