2017年12月31日

FLOWERSシリーズを振り返る 春篇

2017年にリリースされた「冬篇」をもって完結した、「FLOWERS」シリーズ。


今回からの記事では、全4作の歴史と魅力を振り返っていきたいと思います。今回は、まず1作目の「春篇」から。


春篇




シリーズ第1作ということもあり思い入れの深い作品です。


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2014年、百合をテーマにした完全新作のゲームが出るということは大きな話題を集めました。百合を扱ったゲームが少ないのは当時も現在も変わっていませんが、四部作という長期的な構想を持ち、さらにそれを事前にアナウンスしていたのはかなり珍しい例です。どこまで本気なのか、正直最初は半信半疑だった人もいたかもしれません。


体験版も公開され、具体的な情報が出ていくと予想以上の本格的な内容に百合ファンの期待は非常に高まっていきました。そして製品版でも、作りこまれた世界観と丁寧な描写に多くのプレイヤーが引き込まれていくことになります。


蘇芳


「春篇」をプレイして私まず魅力に感じたのは、主人公である蘇芳のキャラクターです。事情によりそれまず学校に通っておらず、友達というものに憧れる内気な少女。


そういった背景もあって、蘇芳は他人との関係性についてちょっと意識過剰なところがあります。結果として、なにかと他の女の子のことが気になったり、じろじろ見てしまうといった描写が序盤からたびたび挿入されることに。まだ物語の起伏の少ない序盤から(疑似的とはいえ)百合を思わせる要素が入ることで、プレイヤーのモチベーションを高めるという効果もあったように思います。


蘇芳と「友達」というテーマは、chapter5で1つのクライマックスを迎えました。七不思議の一つ「血塗れメアリー」をきっかけに、学院を去っていく同級生たち。蘇芳は、彼女たちに「だって、友達じゃない」という言葉をかけます。


これは蘇芳が他人を初めて自分から「友達」と呼ぶ場面です。それまでの蘇芳は、周囲から友達として認めてもらうことに意識を向けていたように思います。「友達っぽいこと」に憧れていたも、それを通して間接的に友達に入れてもらおうという期待があったのかもしれません。


友達になることを迷わず、そして友達の力になろうとする。それができるところまで蘇芳が成長したことがうかがえる名シーンだと思います。


マユリ


「春篇」リリース前のプロモーション等では、蘇芳・マユリ・立花の3人を平等に扱った紹介が多かったように思います。主人公は蘇芳として、ヒロインはマユリと立花のどちらなのか。多くのプレイヤーが気になっていた部分だと思います。物語内の見せ場やシーン分岐もマユリ寄りと立花寄りがほぼ平等に用意されており、先が読めない展開でした。


結論としては、蘇芳はマユリと結ばれることになります。内向的な蘇芳とは違う世界の、明るく社交的な人。そんなイメージだったマユリが実は蘇芳同様に心に傷を負っており、それゆえに惹かれ合うという展開は引き込まれるものがありました。


試練を乗り越え、最後には結ばれる2人。もしここで完結していても1つの作品として十分名作だったと思うのですが、最後に波瀾があり次作「夏篇」へと続きます。

Now reasoning...


「FLOWERS」シリーズは公称「百合系ミステリィADV」です。


「春篇」でも、蘇芳による推理(謎解き)シーンがたびたび登場します。プレイヤーの中には、謎解きのあまりの難しさに驚いた人も多いのではないでしょうか。「キリスト教徒 一番多い国」とか「忌み数字」でネット検索したプレイヤーが全国に大量に発生したことでしょう。


正直、私は一発で正解できたことはシリーズ通してほとんどありません。正解すること自体よりも、困難な謎解きを作中のキャラクター達と同じ目線で体験することが楽しみでした。そういった演出としては、非常に面白く機能している要素だったと思います。


PS Vita版&PSP版


PC版が好評だったのか、約半年後にPS Vita版&PSP版移植版が発売されました。


私は当時PS Vitaを持っていなかったのでPSPでプレイ。ちょっと懐かしいですね。


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内容はPC版をきわめて忠実に再現しています。携帯機という特性に合わせてシステム面もより便利に調整が入りました。ロードも存在自体を感じさせないほど速いです。スクリーンショット、ボイスコレクションなどにも対応していました。


ちなみに、ごく一部ですがテキストが変更されている箇所がありました。宗教色の強い描写がマイルドになっていたり、クイズの問題が少し簡単になったりしています。


英語版


2016年には、北米向けに英語版もリリースされました。


まず春頃に体験版が配信されたのですが、ここでいきなりつまずきが。誤訳、誤字、脱字、文法間違い等が大量に発見され、短期間に何度も修正版が再配信されるという混乱がありました。これが初プレイである海外プレイヤーからも多くのツッコミが入っていたので、日本語版と照らし合わせるまでもないレベルの明らかな間違いも相当数あったようです。


何か月かの発売延期の後、夏についに製品版がリリースされました。ダウンロード版もあるのですが、(体験版はできたのに)日本からはダウンロードできない仕様。私はパッケージ版を海外から取り寄せることでようやくプレイできました。


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体験版と比べると大幅にクオリティアップしており、明らかな間違いはほとんどなくなりました。特に日本独自の言い回し(ことわざ等)は英語風に置き換える独自の工夫をしており、なかなか勉強になります。全体的には十分満足できる出来となっています。


夏篇へ


春篇の悲劇的な結末から、物語は次作「夏篇」へと続いていきます。「夏篇」については次の記事で紹介したいと思います。


【PC版】【PS Vita版】【PC/ダウンロード版(DMM)】)






【参考記事】
























ラベル:flowers
posted by trinder at 05:31 | Comment(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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