2018年07月30日

百合姫セールから短編集を特集その2「カワイイとサヨナラ、」「女の子のいちばんやわらかいところ。」「乙女ケーキ」他

Kindleストアで7月31日まで開催中の、百合姫コミックスの大セール。

Kindleで百合姫コミックス半額orポイント50%還元セール 7月発売作品の最新作も

先日の記事では、セール対象の中から短編集を特集しました。

【参考記事】
百合姫セールから短編集を特集 「キミイロ少女」「ときめく、はじめての。」他

今回も、引き続き短編集を特集。前回取り上げなかった作品を紹介していきます。

ちなみに、今回紹介する作品はいずれも【半額セール】と【ポイント50%還元セール】の組み合わせにより非常にお得な状態になっています(7月30日現在)。324円で購入して150ポイント還元されるので実質174円というすごい状況です。

女の子のいちばんやわらかいところ。(宮田 ワルツ)




大きく分けて3つのお話を収録。「女の子のいちばんやわからかいところ」(全3話)、「バラといちご」(全3話)、「キス魔イリップス」(1話完結)です。

表題作「女の子のいちばんやわらかいところ」は、真面目で純真な主人公と、一見軽いけど包容力のある優しい先輩のお話。主人公による告白シーンから始まり、出会った頃のお話に遡り、やがて未来のお話へと展開していきます。最後は先輩の卒業も描かれます。時の流れの速さにちょっと切なさを感じさせつつも、主人公たちの成長を感じさせてくれます。爽やかで温かいお話です。

tan2ff1.jpg

「バラといちご」は、誰にでも愛されようとするアイドルと、そんな彼女に唯一そっけなく接するクラスメイトのお話。こちらもまた違った個性があり面白いです。



カワイイとサヨナラ、(ねが)




百合漫画の表紙は主人公とヒロインの2人が描かれていることが多いですが、この作品は1人しか描かれていない潔い表紙が目を引きます。なんとも言えない表情も気になりますね。

公式には短編集として紹介されていますが、全体の半分程度はある姉妹をメインとするつながったお話です。

姉の桜子は演劇部のスターで、中性的な魅力で女の子達に人気。桜子自身も女の子が好き。でも自分を慕ってくれる女の子たちの「好き」は、桜子が求める「好き」とはいつもちょっと違っていて……。

一方、妹の菫子は、意地っ張りな性格ながらも彼女なりに桜子のことを心配しています。桜子に近づく女の子をつい敵視してしまったりも。ですがそんな菫子の前に、菫子のことが好きだという女の子が現れます。

最初こそ桜子の視点から始まるものの、ボリューム的には妹の菫子が主人公的な扱いです。表紙でなんともいえない表情をしているのも桜子。ちょっとひねくれた女の子が、周囲に少しずつ心を開いていく姿が微笑ましいです。

ややオーバーとも思えるほどに表情豊かなキャラクター達も魅力的です。表紙が菫子の表情のアップなのもうなずけるかも?

tan2ff2.jpg

この姉妹のお話以外にも、(大きく分けて)3つほどのお話を収録しています。ほぼ独立した内容ですが、世界観は共有しているようです。



かわいさ余って好きさ100倍!! (めの)




百合姫コミックスだと「あとで姉妹ます。」、他には「まもなく開演!」などで知られるめのさんの作品。王道ながらも個性的なカップルたちの日常を、微笑ましく描いています。

冒頭に収録されている作品は「ボーイフレンド」という百合漫画としては挑戦的なタイトル。ヒロインの女の子は、ボーイッシュな外見から疑似的な「彼氏」として主人公と交際することになります。でも彼女も、心の中では女の子として扱われたいと悩んでいて……。

ここまでならわりと王道的なパターン。でもこの作品の場合、主人公からヒロインへ「女の子として見てほしいなら女の子らしく見てもらえるよう努力して」的なダメ出しが入ります。たしかに言われてみると、このヒロインは髪型から服装から男性的なものばかり。そのあたりにはっきりツッコミを入れている作品は意外と珍しいかもしれません。このくだりでちょっとだけ真面目になる一幕はあるものの、基本的には明るく楽く読める作品です。

「告白アフター」は、クラスメイトの美少女から告白された主人公が、悩んだ末に答えを返すまでのお話。微笑ましく、くすぐったい感じの作品です。ちなみに表紙イラストになっているのはこの2人。


他には、妹とその彼女の痴話喧嘩を延々と聞かされるお姉ちゃんを描く「いい加減にしなさい!」もユニーク。

tan2ff3.jpg

ちなみに今回唯一の描きおろしとのこと(他の作品は同人誌出典)。



ぷくゆり(マウンテンプクイチ)




最近は「球詠」で人気の、マウンテンプクイチさんの作品。「球詠」はだいぶガチで野球漫画していて百合要素はエッセンス程度の印象ですが、こちらは正真正銘の百合短編集です。

表題作「ぷくゆり」は、地味で大人しい女の子と不良少女のお話。基本的にはほのぼのした交流を描いていますが、不良とつるむ悪影響を周囲が心配する一幕もあります。

「ふたりだけ」「ふたりなら」「ずっとふたりで」は、全3話で構成されるお話。いじめられっ子と、クラスでも派手なグループの子、という一見反対の2人のお話です。タイプの違う2人、という点では上記の「ぷくゆり」とも少し共通するものを感じます。色々な障害を乗り越えて、最終的にはかなり深い仲になります。

tan2ff6.jpg


ただしシリアスさは「ぷくゆり」以上で、直接的な描写は控えめながらも主人公がかつて受けていたいじめがかなり酷いものであったことが伺えます。

コメディを連想させる絵柄とは裏腹に、収録作は全体的にシリアス気味なので油断できません。

ただし、中盤あたりに収録されている「ゆうりい」は、コミカルで安心して読めるお話です。ヒロインは幽霊で、成仏できないのは現世に「心残り」があるからだとか。幽霊ものの王道的な展開ですが、この単行本の中ではほっと一息つける平和な作風です。



乙女ケーキ(タカハシ マコ)




これまで比較的最近の作品を紹介してきましたが、最後に古めの作品を取り上げます。というか、百合姫の歴史でもっとも古い作品の1つです。

どれくらい古いかというと、「百合姫」の前身である「百合姉妹」の創刊号に掲載された作品を収録しています。



「百合姉妹」創刊号は2003年発売なので、15年以上前に描かれた作品ということに。それでも古さはまったく感じさせません。主人公たちが「女の子らしさ」と自分のアイデンティティとの間で悩む姿などは、現在の百合漫画でもみられる普遍的なテーマです。

tan2ff4.jpg

作品の傾向としては、小学生〜中学生を主人公とした作品が多め。目が大きく可愛らしい絵柄もあって、登場人物たちの幼さを強く感じるお話が多いです。平和で微笑ましいイチャイチャを描きながらも、裏にはどこか残酷さのようなものも感じさせます。

そんな中、異彩を放つのが「タイガーリリー」。主人公はおばあさんで、おそらく余命いくばくもない状態。そんな中で思い出すのは、若き日に女学校で演じた劇のこと。そして、好きだった女の子のこと。夢と幻と記憶の混濁が組み合わされたような感じで、ファンタジックなようで、ちょっと怖いような作品です。


なお百合姉妹Vol.1に掲載されたのは「夏の繭」という作品。生理を1つのテーマとして扱っており、最初からかなりきわどいところを攻めていたことが伺えます。

tan2ff5.jpg



ちなみに、百合姉妹の創刊号から参加していた最古参の作品としては他に蔵王大志さんの「春夏秋冬」などがあります。



森永みるくさんの「くちびるためいきさくらいろ」、林家志弦さんの「ストロベリーシェイク」なども百合姉妹の創刊号からの掲載。ただしのちに出た単行本の新装版や完全版は他社からの出版です(つまり、セール対象外)。





posted by trinder at 12:27 | Comment(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。