2018年12月07日

ブーム到来!?百合吸血鬼特集2018

ここ最近、「となりの吸血鬼さん」関連の記事をいくつか続けて書いています。この作品に代表されるように、実は今吸血鬼百合が大人気です。以前からぽつぽつありましたが、ここ3年くらいで急激に増えて来た印象。そこで今回は、吸血鬼がテーマになっている百合作品を特集したいと思います。

(※この記事は2017年に書いた記事に大幅に加筆・修正したものです。)

「となりの吸血鬼さん」(甘党)




イマドキ吸血鬼×人形好き少女

やっぱりまずはこれ。TVアニメ版が大人気放映中です。原作は百合漫画満載の4コマ誌「コミックキューン」で創刊当初から連載しています。



主人公の灯(あかり)は普通の人間ですが、吸血鬼であるソフィーのことが大好き。吸血鬼をまったく怖がらないどころか、「ソフィーちゃんにならたとえ血を吸われてもむしろご褒美だよ!!」と言い放つ特殊な嗜好の持ち主です。ソフィーとの関係を「相思相愛」「結婚したも同然」と語るなど情熱的です。

ちなみに2人は灯の両親公認の仲。灯の母親が灯とソフィーが結婚して子供を作る想像をする場面までありました。どういう世界観なのでしょう。

ただしソフィーは決して灯の血を吸いません。血は通販で買えるので必ずしも人間から直接吸う必要はないようです。吸血鬼百合を(主人公とヒロイン間の)吸血シーン無しで描くというのはなにげに新しい試みかもしれません。ソフィーはのちに灯の血を吸わない理由を明かしますが、そこには灯への気遣いが表れています。


また吸血鬼同士の百合要素もあり、もう1人吸血鬼であるエリーはソフィーとかつて恋人だったと語っています(あくまでエリー談。ソフィーに言わせると単なる腐れ縁)。こちらは吸血鬼どうしの吸血シーンあり。

また人間同士だと、灯の親友のひなたが灯に恋しています。またクラスメイトの朔夜と夕は、出番は少ないもののかなりのガチ百合な関係が示唆されており動向が注目されます。

【参考記事】
となりの吸血鬼さん 第1巻 / 甘党
「となりの吸血鬼さん」第2巻(甘党)
「となりの吸血鬼さん」第3巻・4巻
「となりの吸血鬼さん」第5巻(甘党)
「となりの吸血鬼さん 公式コミックアンソロジー」
TVアニメ「となりの吸血鬼さん」第9話まで

「吸血鬼ちゃん×後輩ちゃん」嵩乃朔




吸血鬼×余命一年の花贄(はなよめ)。

人見知りの女の子・沙羅と、吸血鬼である先輩・アイリスの恋を描く作品です。タイトルに「吸血鬼」とあるものの、作中では吸血鬼という言葉はほぼ使われず「蝶鬼(ちょうき)」という用語で呼ばれています。そして蝶鬼に吸血対象として選ばれた人間は「花贄(はなよめ)」と呼ばれます。

吸血シーンには非常に力が入っています。毎回吸う場所や吸い方がやけにフェティッシュ、そしてエロティック。作者の嵩乃朔さんは成人向けの百合漫画も描いていますが、そちらに通じるものを感じます。



当初はそのエロさで話題になっていましたが、次第にシリアスな設定が明らかになります。花贄(はなよめ)は、蝶鬼に最初に吸血されてから一年後に死んでしまうのです。そして蝶鬼も、そのたびに蛹化(ようか)という現象により記憶がリセットされます。

最新の第3巻では、アイリスにかつて沙羅とそっくりな恋人がいたことが明らかに。2人とも蝶鬼で互いの血を吸い合うのですが、それが悲劇の引き金となりました。

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沙羅とアイリスは自分たちの運命に戸惑いながらも、残された時間を懸命に生きようとします。2人はまだ希望は捨てていないようですが、果たして……?

【参考記事】
「吸血鬼ちゃん×後輩ちゃん」第1巻(嵩乃朔)

「キリング・ミー!」あきやま




吸血鬼×ヴァンパイアハンター。

ヴァンパイアハンターな女子高生・早貴と、クラスメイトの吸血鬼・美夜子の戦い(?)を描いた作品。

早貴はヴァンパイアハンターとして美夜子の命を狙いますが、なぜか美夜子に好かれてしまいます。すっかりペースを乱された早貴は、気がつくといつも美夜子に血を吸われていて……。

殺し合いからの百合、という特殊なシチュエーションをコミカルに描いています。「殺す」という物騒な単語が連発されていますがべつにグロ的なシーンはないのでご安心を。明るく楽しい追いかけっこラブコメです。

ちなみにこの作品、コミックキューン連載です。「となりの吸血鬼さん」に続くコミックキューンの吸血鬼百合まさかの2枠目……だったのですが、作者さんの都合により残念ながら現在は連載終了しているようです。

【参考記事】
「キリング・ミー!」あきやま

「吸血鬼はじめました。」雨宮結生




ぼっち吸血鬼×天使すぎるクラスメイト。

夢子は、事故をきっかけに吸血鬼となりました。1日1回は誰かの血を吸う必要があるのですが、元々ぼっちだったので相談する相手もなく……。1人苦しむ夢子を救ってくれたのは、人気者のクラスメイト・めいでした。めいは、血を差し出す代わりに友達になってほしいという意外な提案をします。

人気ジャンル(?)の百合吸血鬼ものに、これまた人気ジャンル(??)のぼっち少女ものをかけあわせたような作風。2つの要素は思った以上に上手くハマっており、独自の魅力を作り出しています。

2人の吸血関係は周囲には秘密、という設定も百合的に良い感じ。周囲にバレそうになった際は、恋人だからキスしていただけといって誤魔化したりもします。それはそれで問題のような気もしますが、めいはまんざらでもなさそう。

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【参考記事】
「吸血鬼はじめました。」第1巻(雨宮結生)

「ヴァンパイアちゃんが狙ってる。」(わさも)




貧血吸血鬼×お人よしなグラマー少女。

吸血鬼のクロエは、よく屋敷の近くを通るおいしそうな女の子・しずるの血を狙っていました。ですが、いざ血を吸おうとするとしずるの魅力に負けて鼻血を出してしまい、かえって貧血になる始末。見かねたしずるはクロエの家に住み込み、献血のような形で血をあげることになりました。


「となりの吸血鬼さん」とはまた違った形の吸血鬼同居もの。「となりの〜」と違うのは、吸血鬼であるクロエの側がしずるラブなこと。一方しずるはあくまで人助けのつもりでクロエと同居しており(当初は)恋愛感情のようなものはありません。次第にお互いのことが好きに為っていく展開は期待通り。

独特のギャグと吸血鬼百合が高いレベルで融合している作品です。しずるに近づいては勝手に鼻血を出して貧血になるクロエの姿が笑いを誘います。

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ちなみに、クロエとしずる以外の人物もだいたい百合です。しずるをストーカーレベルで慕っているシスコン妹・みはるあたりは特に注目。


【参考記事】
「ヴァンパイアちゃんが狙ってる。」(わさも)

「きゅーは吸血鬼のきゅー 」G3井田




オカンな吸血鬼×血液ドロドロぐうたら女子高生。

見習い吸血鬼であるきゅーは、成人の儀式として血を吸うために人間界にやって来ました。しかし、吸血対象とされている女子高生・英(えい)の血は激マズ。どうやらだらしない生活習慣が原因のようです。きゅーは英の家に住み込み、徹底した健康管理で英の血液改善を図ります。

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吸血鬼がなぜか人間のお世話に精を出すお話です。生活習慣から食事まで、きゅーの徹底した指導はまるでオカンのよう。読むと読者も健康管理に詳しくなれる……かもしれません。

きゅーと英は恋愛関係という感じではありませんが、強い信頼関係が見て取れます。最初は利害関係で始まった同居生活ですが、いつしか強い絆で結ばれていたようです。物語終盤はついに英の血液に改善が見られ、きゅーはついに吸血するかどうか(=成人の儀式を完遂して人間界を去るか)の決断を迫られることになります。

【参考記事】
きゅーは吸血鬼のきゅー (G3井田)

「水曜日の夜には吸血鬼とお店を」羽戸らみ




吸血鬼×ゴスロリファッション。

ゴスロリショップの店長をしている吸血鬼・ウェンズデイ。オーナーの孫娘である理沙は、このお店でアルバイトをすることになります。

実は吸血シーンはほとんど無し。かわりにファッション(主にゴスロリ)がメインテーマに入っているという珍しい作品です。理沙とウェンズデイの仲良しぶりがみどころです。

1巻の時点では直接的な恋愛描写は控えめで、微笑ましい関係です。クリスマス会のプレゼント交換で互いのプレゼントを欲しがったり。ただしサブキャラがウェンズデイと理沙を「百合」な関係と誤解(?)する場面があったりするので、作者さん的にはまったく百合を意識していないわけではなさそう。今後の進展に期待です。

「天秤は花と遊ぶ」(卯花つかさ)




吸血鬼×性別選択。

TVアニメ版が放送されている「アニマエール!」(こちらもちょい百合あり)でも話題の卯花つかささんの作品。

定期的に人の血を吸わなければならない特殊体質のヒロイン・愁に、主人公の謡子が血をあげるというのが物語の大筋。飲ませ方、飲ませる状況も様々です。

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好きな人の血はおいしく感じるという設定があり、そこからも愁の謡子への好意が伺えます。

ただしこの作品には「吸血鬼には性別がなく、18歳になるまでに男女どちらの血を多く飲んだかでその後の性別が決定される」という少々特殊な設定があります。女子校に通っていることもあり、現在の愁は肉体的には女性そのもの。このまま謡子の血を飲み続けていれば、完全に女性になるのでしょう。ですが、将来謡子とずっと一緒にいるためには、女性同士でいいのか、それとも男女のほうがいいのか……?

このあたりは同性婚やジェンダー論にまで踏み込んだ深いテーマを連想させます。最後に愁が謡子を「好きだから」こそした決意には賛否両論がありそう。ですが、個人的にはそこも含めて1つの考え方としてとても面白い作品だと思います。

ちなみに、謡子×愁以外にもいくつか女の子同士の恋愛描写あり。

「かみつき学園」(キダニエル)




支配する吸血鬼(エピキュリアン)× 管理されるニンゲン。

吸血種族「エピキュリアン」が、人間を支配・管理しているという世界観です。人間はエピキュリアンに血を提供するのが主な役割ですが、決して酷い扱いを受けているわけではないようです。エピキュリアンが血液によって得る力はその人間への「ときめき」によって上昇するという面白い設定もあります。

主人公は平凡なエピキュリアン。一方、食料であるはずの人間のほうは容姿端麗で才色兼備。この組み合わせも面白いです。

全2巻ということもあってか、展開はやや駆け足です。舞台も学園およびその周辺に限られ、個性的な世界観の全貌が描かれきる前に完結してしまった印象。このあたりはもう少しじっくり楽しんでみたかったかも。

【参考記事】
「かみつき学園」第1巻(キダニエル)

「遠藤靖子は夜迷町に隠れてる」(FLOWERCHILD)




なんか吸血鬼っぽい人×オカンなクラスメイト。

しずえは、ある日クラスメイトの遠藤靖子に襲われ血を吸われます。靖子はしずえの血が気に入ったといい、そのまま家に住み着いてしまいました。その頃、町では若い女性の連続失踪事件が立て続けに起きていました。ある者は、正体不明な靖子の関与を疑うのですが……。


ミステリアスな吸血鬼(と思われる少女)をヒロインとするドタバタコメディ。基本的にはシュールなギャグ漫画ですが、靖子の正体に関連してシリアスな展開もあります。

中盤で突然イケメン男性キャラが活躍しだすなど迷走している感がありましたが、最終的には百合吸血鬼路線に回帰。伏線もおおむね回収し、全2巻で綺麗に終わっています。単行本のおまけ漫画のタイトルに「しずえ×靖子」と付いていたりするので、百合を描きたかった作品というのは間違いなさそうです。

【参考記事】
「遠藤靖子は夜迷町に隠れてる」第1巻(FLOWERCHILD)

「制服のヴァンピレスロード」(松本トモキ)




吸血姫×ハーレム(というより総受け)。

突然吸血鬼になってしまった夕凪(通称ユウ)は、親友の七夕(通称ナナ)にだけ事情を告白。血を吸わせてもらうことになります。ですが、やがて他のクラスメイトにも秘密がバレてしまい、彼女たちにも求められて吸血することに……?

女の子にモテモテな吸血鬼・夕凪の活躍を描く作品です。夕凪自身、自覚はなかったものの女の子好き。このあたりは吸血鬼としての特性というより夕凪の趣味であるようです。

夕凪の親友の七夕が正妻的なポジションですが、他の女の子たちも次々に夕凪との吸血関係を結びます。ナナのちょっとした嫉妬もみどころです。吸血行為はするほうもされるほうも気持ち良いらしく、ちょっとだけ官能的な雰囲気が漂っています。

全3巻で、伏線やタイトルの意味をきちんと回収して綺麗に終わっています。と思ったら最終巻のあとがきで「全ッ然売れてないから打ち切り」だったという衝撃の事実が明かされました。

【参考記事】
「制服のヴァンピレスロード」第1巻(松本トモキ)
「制服のヴァンピレスロード」第2巻(松本トモキ)
「制服のヴァンピレスロード」第3巻(完結)/ 松本トモキ

「ベツキス」百合原明


 

ゴスロリ吸血鬼×唾液。

女子高生・ひかりの家には、吸血鬼のエイプリルが居候しています。エイプリルの主食は、ひかりの体液───具体的には唾液でした。

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人間の体液だったらべつに血じゃなくても良いんじゃない?……というありそうでなかったアイデアを形にした作品です。唾液を与えるということで、やっていることは実質ディープキスそのもの。


全2巻ですが、後半はもう1人の吸血鬼・愛麗を掘り下げています。回想では、愛麗が愛する女性とともに歩んだ長い月日が描かれます。普通に年をとる人間と、永遠に変わらない吸血鬼。よく聞くテーマですが、実際にその様子をストーリー上ではっきり描いた例は意外と珍しい気がします。主役カップルでないからこそできた描写と言えるかもしれません。

ちなみに掲載誌は、かつて芳文社から出版されていた百合アンソロジー「つぼみ」でした。


「道割草物語」(武川慎)




吸血姫×吸血鬼×廃墟。

人間がすでに滅び、吸血鬼(ほぼ女性のみ)が生き残った世界が舞台。吸血鬼どうしで血を吸い合うことが一般的に行われていますが、これは食事になるだけでなく一種の愛情表現も兼ねています。

吸血鬼どうしの吸血の効能(?)が非常に優秀な作品といえそうです。他作品だと、せいぜい空腹をまぎらわせるだけ(となりの吸血鬼さん)だったり、ひどいケースになると死に至る場合まであったり(吸血鬼ちゃん×後輩ちゃん)。

吸血鬼に女性しかいないことにきちんと理由があったり、細かい設定面も光る作品です。

【参考記事】
道割草物語(上下巻)/ 武川慎

「いいなり!! 吸血姫」(草壁レイ)




へなちょこ吸血鬼×ドケチ美少女退魔師。

子供の姿になってしまった吸血鬼・ルクレツィアと、ドケチな退魔師美少女の同居生活を描くコメディ。ルクレツィアが依紀の血を飲むことで大人の姿に戻ってパワーアップする、という王道ながら熱い展開もみどころです。

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ちなみに、依紀の幼馴染のゆいは依紀に特別な感情を抱いているようです。人間同士の百合描写にも注目。




吸血鬼がテーマの百合漫画を思いつく限りで紹介してきました。

王道の「吸血鬼×人間」な作品もあれば、意外な組み合わせの作品もあります。どこに吸血要素を絡めるかが作家さんの個性の見せどころと言えそうです。視点が吸血鬼側か人間側かだけでも結構印象が違ったり、奥が深いです。

アニメ版「となりの吸血鬼さん」の人気次第では今後さらに百合吸血鬼ものが増えるかもしれません。今後ますます注目のジャンルといえそうです。











posted by trinder at 01:37 | Comment(2) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まあ、「ダ・ヴィンチ」の百合年表でも、日本の百合は「カーミラ」の受容から始まっていますから、「百合」と「吸血鬼」の親和性は伊達ではないのでしょうね。
ちなみに、羽戸らみ先生の「水曜日は〜」はすでに完結していて、完結巻は結局電子版オンリーで発売となっています。
https://is.gd/Vsqo86
Posted by おーらんどー at 2020年05月03日 12:11
吸血鬼百合は根強い人気がありますね。実際のところ打ち切りっぽく終わる作品が少なくないですが、それでも次々に新作が出るので楽しみにしています。

>おーらんどーさん
>
>まあ、「ダ・ヴィンチ」の百合年表でも、日本の百合は「カーミラ」の受容から始まっていますから、「百合」と「吸血鬼」の親和性は伊達ではないのでしょうね。
>ちなみに、羽戸らみ先生の「水曜日は〜」はすでに完結していて、完結巻は結局電子版オンリーで発売となっています。
>https://is.gd/Vsqo86
Posted by trinder at 2020年05月03日 16:06
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