2019年08月08日

「シロップ secret-禁断×百合アンソロジー」(双葉社)

双葉社から発行された「シロップ secret-禁断×百合アンソロジー」を読みました。8月8日発売。


「シロップ secret-禁断×百合アンソロジー」とは


双葉社は以前から百合漫画とは縁が深い出版社です。古くは「Girls Friedns」などの森永みるくさん作品、最近だと「うちのメイドがウザすぎる! 」「小林さんちのメイドラゴン」なども出しています。

「シロップ 」は、最近そんな双葉社から発行されている百合アンソロジーです。5月には「シロップ 社会人百合アンソロジー」も出ていました。




今回のテーマは「禁断」ということで、なんらかの意味で背徳的なものを含んだ関係を描いています。生徒と教師、既婚者との恋、といった王道から、かなり前衛的な「禁断」を描いたものまでさまざまです。


参加している作家さんは、フライ(表紙)/森永みるく/缶乃/いけだたかし/伊藤ハチ/天野しゅにんた/タカハシマコ/吉田丸悠/郷本/松崎夏未/川浪いずみ/辻恵(敬称略)です。


以下、特に印象に残った作品をいくつか紹介します。


「それがあの娘のほしいもの」缶乃

クラスの人気者がヒロイン……と思いきや、そんな彼女の想い人を奪うというお話。略奪愛ゆえに「禁断」ということなのでしょう。

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この作品に限りませんが、ページ数の制約ゆえか登場人物たちの心情は短い台詞で端的に表現されています。そこからいろいろと想像を広げるのが楽しい作品となっています。この作品の場合は、主人公の行動原理が興味深いです。


ひだりの足枷(伊藤ハチ)

ニンゲンが獣人を(おそらく戦争で)殺しているというシリアスな世界観。ニンゲンの女性と、彼女に両親を殺された獣人の同居生活を描いています。

種族違いであり、さらに両親の仇でもあるという点が「禁断」。伊藤ハチさんの作品の中でもかなり重くてシリアスな雰囲気の作品です。それでもブレずに今回もケモノ耳ヒロイン&おねロリなあたりはさすが。


「妹のアイスクリーム」(タカハシマコ)

姉妹もの。ですが、妹の今の彼女が姉の元カノらしく、なんだかややこしい関係です。姉が妹に特別な感情を抱いているような描写もあります。登場人物3人ともどこかタガが外れているように感じますが、果たして誰の誰に対する感情が最も「禁断」なのか気になる作品です。


「揚羽、翔ぶ」(吉田丸悠)

ハチとチョウの擬人化で百合、という先鋭的(?)な作品。

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種族違いの恋、そしてハチが最後に取った行動に「禁断」が表現されています。読んだあと思わず「アゲハヒメバチ」を検索したくなることうけあい。


「Slit」(いけだたかし)

ネクラでぼっちな女の子と、バスケ部のスターのお話。作中で主人公とヒロインが明確に会話している場面が一度もないという異色の作品です。基本、遠くから見つめたり写真を撮ったりするだけ。ある種の身分違いの恋ともいえそうですが、それだけではない背徳感が表現されています。



百合漫画に縁の深い作家さんが多数参加しており、読み応えのあるアンソロジーとなっています。

「禁断」がテーマということでやや重めの作品が多め。それでも明確に不幸な結末となっている作品はほとんどないので、後味は悪くはありません。

ちなみに、女の子どうしの恋であること自体を「禁断」と定義した作品はほぼありません。このへんは時代の変化も感じますね。それぞれの作家さんが考える個性的な「禁断」を楽しめるアンソロジーとなっています。


(kindle版あり)
 


posted by trinder at 19:28 | Comment(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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