2020年05月02日

Steamの英語百合ゲー「A Summer's End - Hong Kong 1986」

ダウンロードゲーム販売サイトSteamでは、多数のゲームが展開されています。Steamをメインのプラットフォームとしている作品もあり、その中では百合作品も少なくありません。

今回はSteam百合ゲーの中から、「A Summer's End - Hong Kong 1986」を取り上げます。4月23日発売と新しい作品です。



A Summer's End - Hong Kong 1986


この作品は、1980年代の香港を舞台に大人の女性2人の恋を描いています。



A Summer's End - Hong Kong 1986公式サイト


公式サイトの作品概要によると……

A Summer’s End - Hong Kong 1986 is a visual novel game set to release on Steam for PC. Follow the story of Michelle and Sam, and how their chance meeting evolves into a deeper romantic relationship. Set in vibrant Hong Kong in the year 1986, it is an original story about love, family, and culture.
("A Summer’s End - Hong Kong 1986"はSteamでリリースされるADVです。ミシェルとサムが出会い、恋に落ちる物語です。1986年の揺れる香港を舞台に、恋、家族、文化を描きます)

A Summer's End - Hong Kong 1986 is about seeking identity and meaning in a rapidly changing world where conflicting world views and cultures collide. Inspired by Hong Kong cinema, 80s anime, city pop, and contemporary Asian literature, A Summer’s End - Hong Kong 1986 is an homage to the past and a visual delight for fans of retro art and fashion.
(急速に変化する世界で、文化や価値観の対立の中、アイデンティティを模索していく物語。香港映画、80年代のアニメ、ポピュラー音楽、当時のアジア文学へのオマージュです。レトロファン達に捧げます)


上述の通り、主人公はミシェル(Michelle)とサム(Sam)の2人。サムはまるで男性のような名前ですが女性です。サマンサ(Samantha)の略であることが作中で語られています。

80年代のアニメ(80s anime)というのは文字通り日本の「アニメ」です。海外ではいわゆるアニメはCartoonなどと呼ぶのが一般的であり、animeと呼ぶのは日本独特です(語源は英語のanimationですがそういう使い方はしません)。そこで現在海外のサブカル界隈でanimeといったら日本のアニメを指しています。広義では日本のアニメっぽい絵そのものまで含むことも。

舞台がvibrant Hong Kong in the year 1986(1986年の揺れる香港)とされているのは、イギリス統治時代の末期であり、1997年に中国返還を控えていたからだと思われます。価値観や文化が激しく揺れている時代で、女性同士の恋を描く物語になりそうです。


ちなみに、言語は今のところ英語のみです。製作者さんによると、今後日本語や中国語を追加する構想はあるとのこと。

序盤のあらすじ


さっそくプレイ開始。

ゲームは主人公ミシェルのモノローグから始まります。内容は、彼女の生い立ちや現在の仕事など。

内容的には興味深いのですが、正直かなり長いです。無人の背景(電車やオフィス)をバックに延々とテキストのみが続くのでかなり寂しい場面でもあります。

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ここはまだ百合要素はないので、読むのが大変だという人は読み飛ばしてもいいと思います。

一応、ここで語られている情報のうち要点は以下の通り。

・ミシェルは裕福な家庭で育ったが、父親が事故で亡くなってからは母親と2人暮らし
・もともと裕福であったことや、父親の保険金があることもあって、現在もお金に困ってはいない
・現在出版社で秘書として働いている


こういった背景説明をテキストでいっきに済ませてしまい、ストーリー本編に集中するという方針はSteamの低予算作品にときおり見られる傾向ですね。


自己紹介(?)と回想がひととおり終わると、いよいよストーリーが動き始めます。


ある朝の通勤中、ハイヒールのカカトが折れてしまったミシェル。やむなくコンビニでサンダルを買って出勤しますが、どうにも締まらず、同僚に笑われてしまう始末。

結構奮発して買った靴だったので、捨てるのは惜しい。そこでミシェルは、上司に紹介してもらった靴屋で修理をしてもらうことにします。靴屋は香港の繁華街にありました。

ミシェルはそこで、自分より少し年上くらいの若い女性と出会います。その女性が靴屋さんかと最初は思ったものの、靴屋の娘さんでした。ミシェルはその女性のことがなんとなく気になります。

修理にはしばらく時間がかかるということで、街で時間をつぶすミシェル。ペットショップで水槽を眺めていたところ、偶然にもさきほどの女性と再会。

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彼女は、靴の修理が済むまでのあいだ一緒にご飯を食べに行かないかとミシェルを誘います。

彼女の名前は、サム。もともとは中国名があるようですが、ビジネス用に西洋風のサマンサ(Samantha)という名前も使っていたところ、略してサム(Sam)という愛称になったのだとか。

小さなレストランでいろいろな話をする2人。好きな音楽の話で盛り上がったりもします。ここでは歌手の名前がいくつか挙がりますが、これは当時のアジア圏で実際に活躍していた名前だそうです。日本でもある程度知名度があったのはTeresa Teng(テレサ・テン)あたりでしょうか。

サムがミシェルにお気に入りの曲を聞かせてくれようとする場面も。ここではカセットテープやプレイヤーの一枚絵があり、レトロカルチャーを感じさせる演出です。


無事に直った靴を受け取り、そこでサムとお別れ。ですが、ミシェルはなぜかサムのことが強く印象に残ったのでした。

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Something about the way she looked at me made my heart pond.
(彼女に見つめられるとなぜかドキドキする)

I didn't know why it made me feel this way.
(どうしてこんな気持ちになるんだろう)


ストーリーの序盤の序盤(多分)を簡単に紹介しました。

1980年代の香港の雰囲気が魅力的に描かれている作品だと思います。私は当時の香港やその文化には詳しくはないものの、一種の新鮮な気持ちで楽しむことができています。

百合的には、ミシェルとサムの間にある特別な気持ちが早くも示唆されています。ゲーム導入部は主人公の日常を淡々と描くモノローグがかなり長めに入っていましたが、ヒロインと出会ってから目に見えて熱のこもった文章になるので変化を楽しめます。


現在言語は英語のみですが、決して難しくはありません。要点を簡潔に述べた文章を、積み重ねていくような文体。とても読みやすいと思います。文章の装飾に凝りすぎて意味がとりづらいとか、逆に軽すぎて読んだ気にならないとか、誤植が多すぎるといったことはありません。

社会人百合ということでTOEIC学習者とも相性がよさそうです。TOEIC700点もあればさほど苦労せず読めるのではないでしょうか。ふだんから英語の新聞などを読んでいる人なら余裕だと思います。
 

世界観も含めて魅力的なゲームのようなので、もう少し進めたらまた感想を書きたいと思います。



ちなみに、現在SteamではGWセールが行われています。主に日本製ゲームが対象ということで本作は対象外ですが、英語対応の百合ゲーは結構あります。興味があればどうぞ。
 
SteamでGWセール「推しのラブより恋のラブ」「ことのはアムリラート」「りりくる」「百合霊さん」「Fatal Twelve」他
  


posted by trinder at 11:24 | Comment(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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