2021年04月07日

中国の王道学園百合ゲー「寄甡 Symbiotic Love」英語版がリリース決定。体験版をプレイ!

Steamで配信されている百合ゲー「寄甡 Symbiotic Love」。個人的にとても気になっていた作品なのですが、中国語にしか対応していなかったのでとてもハードルの高い作品となっていました。

このたび、英語版の制作が発表されました。製品版は2021年夏リリース予定ですが、体験版が公開されています。



 

寄甡 Symbiotic Love


「寄甡 Symbiotic Love」は、中国の制作者によるゲームです。



このたび英語の体験版リリースに合わせ、改めて公式で作品紹介がされています。

【参考リンク】
Symbiotic Love Demo is now available on Steam

英文を引用させていただくと、以下の通り。

Symbiotic Love is a coming-of-age Yuri visual novel set in a southern coastal city of China.
(Symbiotic Loveは、中国南部の海辺の街を舞台にした、新時代の百合ビジュアルノベルです)

It is the prequel of Melancholy Love, another visual novel already been localized into English.
(すでに英語化されているMelancholy Loveの前日譚にあたります)

A yuri story with mystery elements.
(ミステリィ要素のある百合物語です)

Its Chinese version is rated overwhelmingly positive on Steam.
(中国語版はSteamで「圧倒的に好評」の評価をいただいています)

Part of the Linghua Series (a total of four Yuri VNs).
(4部作構成の聆花シリーズの1つです)


聆花(Linghua )シリーズの聆花とは、舞台となる名門女子校の名前です。中国にある設定ですが、そう意識させる部分はあまりなく、日本の学園百合ものに非常に近い雰囲気の作品となっています。

花の名前を持つ女学園が舞台、ミステリィ要素あり、4部作構成……等々、名作「FLOWERS」を髣髴とさせる部分を多く持つ作品でもあります。この点は中国のユーザーの間でも指摘されており、おそらくオマージュであると思われます。


実は1年くらい前に中国語でプレイしようとしたのですが、言葉がわからないので想像と願望で補完するほかありませんでした。

【参考記事】
Steamの中国語百合ゲー「寄甡 Symbiotic Love」を願望と想像でプレイ


その後、今年になってから2作目である「千面 Melancholy Love」のほうに英語版がリリースされました。1作目と同じ世界の物語ではあるものの、新キャラがメインで進行するため単独でも十分楽しめる作品でした。ある意味、こういう点でもFLOWERSシリーズに近いものを感じたり。

この英語版「千面 Melancholy Love」は詳しめに紹介したことがあります。

中国の百合ゲー「千面 Melancholy Love」不良×優等生な学園百合
不良×優等生な百合ゲー「千面 Melancholy Love」その2

ちなみに現在Steamで20%OFFセール中の模様。




単独でも十分楽しめる2作目「千面 Melancholy Love」ですが、作中ではやはり1作目「寄甡 Symbiotic Love」の内容についても言及されていました。ですので、「寄甡 Symbiotic Love」の英語版のリリースを待っていた新規ファンも多かったのではないかと思います。

体験版


今回英語の体験版が出たので、改めて最初からプレイしてみました。以下では体験版部分のストーリーを、作中の台詞を引用しながら紹介していきます。内容理解の参考になればと思います。ネタバレもあえて避けませんが、体験版部分なので読んでもそれほど問題はないはず……。


プロローグ

ゲームを起動すると、ちょっとショッキングな場面が流れます。

紫娑(Jisuo)という女の子の自殺騒ぎがあり、クラスは騒然としています。クラスメイト達は、紫娑と特別仲が良かった梓婳(Zihua)が何か関係しているのではないかと思っているようです。紫娑と梓婳の両方と仲の良かった友人が、かなり強い語気で追及してくる一幕も。

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Are you involved with Jisuo's death?
(紫娑が死んだのには、あなたが関係しているの?)

しかし、梓婳にもはっきりとした原因はわかりません。そんなとき、偶然見つけた紫娑の日記から、梓婳は紫娑が何を思っていたのかを知ることになります。


このあたりまでがプロローグ。時系列的にはかなり後の出来事のようです。プレイヤーの注意を惹きつけるために、あえてクライマックスシーンを先行して流しているものと思われます。そしてここから過去に戻り、ストーリー本編が始まります。

なおストーリーは主に紫娑の視点から描かれます。ときおり必要に応じて、梓婳の視点が挟まれる構成です。紫娑視点のときはウィンドウが赤、梓婳のときは青になるので判別可能です。


彼岸花

夏休み最後の日。学院に教科書を取りに来た紫娑は、彼岸花の中にたたずむ美しい少女と出会います。

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The devil's... gentleness...
(悪魔の……優しさ……)

紫娑が思わずつぶやいたその言葉は、彼岸花の花言葉でした。それはしっかりこの少女に聞こえており、彼女は悪口か何かと受け取り機嫌を損ねてしまったようです。

ちなみにこの学院は「花」で有名で、敷地内の広大な庭園に多種多様な花が咲いているようです。花が必修科目の1つにすらなっており、生徒たちがレポート作成に苦労する姿が何度か描かれています。

主人公たちが花について話す場面も多く、この紫娑と少女の出会いもそのようなシーンとなっています。彼岸版は作品のロゴにも使われており、作品のイメージを象徴する花となっているようです。いろいろ種類があるらしく、英語ではlycoris、spider lily 、higanbanaなどと呼ばれているのが確認できます。それぞれ厳密には違うようで、作中の人物たちも区別に苦労しているようですが、ストーリーを理解するぶんにはそこまで気にしなくてもいいかも。

(参考)彼岸花
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転校生

そして翌日、新学期。クラスは転校生の話題で盛り上がっていました。

紫娑の友人である浅语(Jianyu)は朝その転校生を見たと言い、女神のように美しかったと讃えています。

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She's so pretty. Has a nice body, too. Especially that intense glare, like a fairy from the mountains, a goddess from heaven.
(すごく可愛くて、スタイルも良かったの。それにあの強いまなざしは、まるで山からやってきた妖精、それか天国から来た女神!)

この浅语は紫娑たちのグループの中でもムードメーカー的存在のようです。明るく楽しい子ですが、勢いだけで動いているようなところがあります。


同じく紫娑の友人で、そして浅语の幼馴染なのが晴唯(Qingwei)。浅语の大袈裟な言動に突っ込みつつも、他の女の話ばかりする浅语に嫉妬しているような節もあったり。百合の素質がありそうです。

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Really? Then you better get chummy with her!
(ああそう。だったらその転校生と仲良くやれば?)

ちなみにこの晴唯は2作目「千面 Melancholy Love」にも成長した姿で登場します。


そして、満を持して登場した転校生は……お約束通り(?)、紫娑が昨日彼岸花の中であったあの美少女。名前は梓婳(Zihua)といいます。

ちなみに、梓婳が黒板に書く名前はアルファベットになっています。これだと単なる読み仮名なので別に書く必要はないような気がしますが……。

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中国語版だともちろん漢字で書いており、これなら書く意味があるかと思います(発音が同じでも字が複数種類ありえるので)。

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その美しさで注目を集める梓婳ですが、あまりクラスと仲良くするつもりはないようです。これには彼女の家の事情が関係していることが、モノローグで語られています。梓婳の家はかなり立派な家柄らしく、梓婳に近づく人間は昔から地位やお金が目当てでした。そのため、友達は作らないと決めているようです。

しかし紫娑は、梓婳のことが気になります。昨日失礼なことを言って気を悪くさせてしまったのを謝りたいし、それに梓婳とはなんだか他人の気がしないのです。幼い頃、会ったことがあるような……?

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Do you still remember me?
(私のこと、まだ覚えてる?)

しかし、梓婳は紫娑のことなど知らないと言います。

Sorry. I don't quite remember. You probably got the wrong person.
(悪いけど、覚えがないわ。人違いじゃないかしら)


きっぱり否定され、紫娑自身も不安になりますが、アプローチはやめません。もし記憶の中の女の子ではなくても、梓婳に何か放っておけないものを感じているようです。紫娑の梓婳への執心ぶりは周囲からもはっきりとわかるほどで、恋でもしたのかとからかわれる場面もあります。よりによって母親からも。

Mom: You have a crush on someone?
母「好きな人でもできたの?」

Jisuo: How could that be? We're girls' school!
紫娑「そんなわけないでしょ、女子校なのに」

Mom: Who says you can't fall in love with another girl?
母「女の子どうしで好きになっちゃいけないなんて、誰が言ったのかしら?」

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百合に寛容、というよりむしろ百合を推奨しているようにすら聞こえます。すごい母親ですね……。


紫娑のほかに浅语・晴唯も、梓婳と仲良くなりたいらしく声をかけ続けます。しだいに梓婳も折れて雑談くらいは付き合うようになってくれました。周囲から嫌われない程度に無難にふるまうのは、経験上結構得意なようです。

この学院には、必修科目として花の観察があります。4人グループ制のため、紫娑・浅语・晴唯のグループに梓婳も入ることに。自然にこの4人でいる時間も増えていきます。


友達

そんなある日、紫娑は、学院の温室で梓婳が必死に何かを探しているのを見つけます。周囲はすでに暗くなり、雨が降り、雷まで鳴っています。梓婳は雷に何かトラウマがあるらしく、激しく怯えます。紫娑の姿を見つけるなり、抱き着いてくるほど。紫娑はそんな梓婳を優しく抱きしめ、気持ちを落ち着かせてあげます。

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Don't be afraid! Good girl, good girl!
(怖がらなくていいんだよ。いい子、いい子)


梓婳が探していたのは、ガラス玉の付いたブレスレットでした。どうやら昼間に温室で落としたようです。実は紫娑が梓婳のものだとは知らずに拾っており、ここでようやく渡すことができました。

梓婳自身でも理由はわからないのですが、小さい頃から肌身離さず持っていた物のようです。

It's othing. It's just that I don't really remeber.
(たいした物ではないの。実は、私自身でも思いだせないのよ)

Ever since I could recall, I've worn this glass bead on my wrist.
(でも記憶している限りでは、ずっとこのガラス玉のブレスレットを手首に付けているの)

It's probably a charm.
(お守りみたいなものかしらね)

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紫娑は、かつて自分も似たものを持っていたような気がしますが……?


少し謎は残ったものの、梓婳は紫娑に感謝します。紫娑のほうも、梓婳の力になれたのがうれしいようです。

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You're welcome. We're friends, after all!
(いいんだよ。だって、友達じゃない)


たまたま同じクラスだとか、梓婳の家柄がどうだとかは関係ない。ただ純粋に、梓婳と友達になりたい。紫娑からそんな素直な気持ちを伝えられ、梓婳も心を開き始めたようです。



ここまでが体験版。

ストーリー的にも百合的にも、一山超えつつも続きが気になるところで終わっています。演出や設定面に過去の名作の影響が見られるものの、ストーリー自体はまったく独自のもの。なかなか先が読めません。基本的には王道の学園百合に見えますが、ショッキングなプロローグからするとここから思わぬ展開があるのかも。

英語としては決して難しくはなく、私でもときどき辞書を引けばわかる程度の難易度です。Steamの百合ゲーでいうと、Heart of the Woodsよりは遥かに簡単。Love Ribbonよりは少し難しく、A Summer's Endよりは少し簡単くらいではないかと思いました。

体験版ということで無料なので、興味があればぜひ触れてみてください。






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ラベル:Steam 英語
posted by trinder at 20:30 | Comment(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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