前回は、アセルス編について紹介しました。
【参考記事】
「サガ フロンティア リマスター」アセルス編の追加・変更点と感想
新主人公であるヒューズ編にもアセルスが登場するルートがあるので、今回はそちらを紹介しようと思います。
ヒューズ
ヒューズは、この世界の国際警察のような組織「IRPO」の隊員です。オリジナル版の「サガ フロンティア」で主人公の1人になる予定があったものの、諸々の事情でカットされていました。
当時出版されていた攻略本(の体裁を取った資料集)である「裏解体真書」では、彼を主人公とした書下ろし小説が掲載されていました。
内容は、ヒューズが捜査官として様々な怪事件を追っていき、その中でゲーム本編の主人公達と出会うというもの。オリジナルストーリーながらもゲームの雰囲気をよく表現しており、人気の高い小説となっていました。
ちなみにアセルスが明確に百合キャラとして描かれており、以下のようなやりとりもありました。
白薔薇「今の私はこの方の虜。ね、アセルス様?」
アセルス「ふふ、可愛いよ白薔薇・・・ ああ、駄目だよこんなところで・・・」
ヒューズ編アセルスルート
リマスター版で追加されたヒューズ編のシナリオは、この小説を意識したものとなっています。シナリオライターには、なんと上記の小説を執筆していたベニー松山さんを起用。
シナリオは、捜査官であるヒューズが既存の主人公7人の事件を追う展開となっています。プレイできるのは、クリア済の主人公のルートのみ。アセルスルートの場合は、「シュライクの少女失踪事件」。この12年前の未解決事件に新たな進展があり、何やら思うところがあるらしいヒューズが真相を追うという流れです。
目撃情報をもとに、アセルスを追うヒューズ。そして今まさに妖魔の追手に襲撃されているアセルスと白薔薇を発見します。

基本的にはアセルス編のダイジェスト的なストーリーです。ですが捜査官という立場から聞き込みを行うなど、ヒューズ独自の視点が生かされています。この過程でゾズマ、零姫などは独自の流れで仲間に加入します。

人間界の警察組織に過ぎないIRPOは妖魔へは原則不干渉のため、ヒューズが葛藤する場面も。このあたりは世界観の掘り下げにもなっています。
シナリオがダイジェストになっている関係上、戦闘回数は少なくて済むようになっています。イベント戦といえるものは2回。
1戦目は生命科学研究所の地竜。終盤のボス級の強さを持つ敵なので、何の準備もせずに挑むと全滅必至です。ただし選択肢で戦闘を回避可能。どうしても戦うのなら、「New Game+」(いわゆる強くてニューゲーム)を利用してのプレイを強くおすすめします。それでもアセルスとヒューズの2人しかいないので、かなりきついです。実はこの直前に自由行動可能になっているので、引継ぎ元のシナリオで育てていた仲間を連れてくるのをおすすめ。女性キャラだと、仲間にしやすくて強いエミリアやメサルティムあたりがおすすめ。
そして2戦目は妖魔の君であるオルロワージュとの戦い。今まさにオルロワージュと対峙しているアセルスのもとに、ヒューズたちが駆けつけるという展開です。アセルスとオルロワージュの会話にはこのシナリオ独自のものがあり注目です。

ちなみにオルロワージュは通常よりかなり強化されているようなので注意が必要です。スムーズに撃破したいならやはり「New Game+」でのプレイが推奨。
百合的には、アセルス編では永久離脱していた白薔薇がパーティーに残留していることに注目。詳細は語られないものの、ここに至るまでにアセルス編とは異なる展開があったことが伺えます。
エンディングも、アセルス編の既存のエンディングのいずれとも異なるものになっています。王座に座るアセルスと、そばに立つ白薔薇。オリジナル版では叶わなかったアセルス×白薔薇ハッピーエンドと思えなくもないかも……?

ちなみに「裏解体真書」の小説でのアセルスは、オルロワージュが倒されたことで妖魔の城の主となっていました。城の姫たちを独占してハーレムを作れると喜ぶのですが、白薔薇が健在なのでヤキモチを焼かれてしまうというラブコメ的な結末。
ゲーム内ではさすがにそこまで描かれていないものの、そういった展開を想像させる余地もなくはないエンディングとなっています。
感想
新作パートということで注目のヒューズ編、そのアセルスルートを紹介しました。既存主人公に対応して7つあるであろうルートの1つということで、シナリオは以前にもましてあっさりめ。ですがシンプルながらに興味深い内容であり、アセルスの物語、さらには妖魔をめぐる世界観を新たな視点から掘り下げています。アセルス編のためにリマスター版を購入した方は、このヒューズ編もぜひプレイしてみてください。